今日は「債券業務」の第1回です。債券の利回りを紹介します。
試験のキーワードになりそうな用語を赤色で示します。その他の色は、理解を助けるためにつけます。
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上の動画のポイントをまとめます。
1 社債
発行者が投資者から資金を集めるために発行する証書のことを債券といいます。現在は完全にペーパーレス化されていますが、以前は卒業証書のような紙を発行して、投資者にそれを渡し、代わりにお金を受け取っていました。会社が発行する債券を社債といいます。株式との違いは、満期(最終償還日)があることです。株式は出資を得るために発行しますので、ふつう返済する必要がありません。債券は借りたお金を満期に返済する必要があります。
株式:返済しない(債権者を保護するため)
社債:返済する(債権者から借りているため)
社債1口(ひとくち)あたり返済すべき金額を額面金額とか各社債の金額といいます。外務員試験では、額面金額を100円に標準化して計算します。満期までの期間、発行者は定期的に利子を払います。
年間の利子の額は、額面金額に利率を掛けて求めます。額面金額100円、利率2%であれば
年間の利子=100円×2%=2円
利率が2%であるとき、年間の利子は額面100円当たり2円になります。
2 社債の利回り
株式業務の分野でも学びましたが、利回りとは投資の効率のことです。社債のキャピタルゲインとインカムゲインはそれぞれキャピタルゲイン:社債の値上がり益
インカムゲイン:利子
です。購入価格をP0、売却価格をPT、利率をD%、保有期間をT年とすると、社債の利回りは
第1項は1年当たりのキャピタルゲインの投資効率を表します。1年当たりのキャピタルゲインですので、キャピタルゲイン(PTーP0)を保有期間Tで割ります。
第2項はインカムゲインの投資効率を表します。注意していただきたいのは、Dは%を除いた数字だという点です。たとえば、利率が2%なら、Dは2%(0.02)ではなく2になります。
正確には、Dは1年あたりの利子の額です。利率2%であれば、100円×2%=2円がDの値になります。外務員試験では、なぜだかこれを利率と表記します。
上の式の第2項(D÷P0)だけを直接利回りといいます。これもたまに試験に出ますので、一緒に覚えておきましょう。
3 利回りの種類
社債の利回りは、「いつからいつまで投資するか」によって呼び方が異なります。社債発行時に購入して満期まで保有するとき、応募者利回りといいます。社債発行後に購入して満期まで保有するとき、最終利回りといいます。満期前に売却するとき、所有期間利回りといいます。
どの利回りを計算するときも、上に掲げた「社債の利回り」の式を使います。問題集で多くの例題にあたって、計算に慣れておきましょう。
4 債券の単価
社債の利回りの式を変形すると、ある利回りを得るための購入単価を求める式が得られます。(株式業務の単元で学んだ採算株価と似たようなものです。)
これを社債の購入価格P0について解きます。分子にも分母にもP0があってややこしいので、まず両辺にP0を掛けます。
利回り×P0=(PTーP0)÷T+D
つづいて、両辺にTを掛けます。
利回り×P0×T=(PTーP0)+D×T
P0がある項を左辺にまとめます。
P0+利回り×P0×T=PT+D×T
両辺を(1+利回り×T)で割ります。
外務員試験では、「残存期間4年、利率2%の社債をいくらで買えば最終利回りが3%になるか」という形式の問題が出されます。最終利回りですから、PTは額面の100円、Tは4年、Dは2、利回りは3%ですから
計算結果は96.428…円になります。この金額で購入すれば、利回り3%を達成できます。
http://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/toukei/saiken_hakkou/youkou/ichiran.html
https://info.finance.yahoo.co.jp/interest/large/?region=0
動画では計算問題を紹介しています。本番の対策として、パソコンの電卓を使って解いてみてください。
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このブログでは、各科目の幹となる用語や計算問題を紹介します。細かい用語や最新の法令・規則については、テキストや問題集で確認をお願いします。