disable copy

株式分割、株式ミニ投資(株式業務:その7)


今日は「株式業務」の第7回です。株式分割と株式ミニ投資について説明します。 

試験のキーワードになりそうな用語を赤色で示します。その他の色は、理解を助けるためにつけます。この単元の動画はありません。

* * *

1 株式分割

株式とは、出資者の地位のことです。株式を買って株主になると出資者として様々な権利を手にすることができます。

株式分割とは、出資者の地位を小さく分けることです。1株利益と1株純資産を説明するとき、ケーキを例にしました(🎂→🍰)。株式分割は、🍰 をさらに小さく切り分けるイメージです。

手元にある 🍰 の量は変わりませんが、「ショートケーキ何切れ分」というときのケーキの枚数は増える感じです。株数は増えますが、ショートケーキが細切れになるだけですので、出資者の地位(株主の権利)の大きさは変わりません。


2 新株を受け取る権利

1:1.2の株式分割を行うことを例に考えましょう。1:1.2とは、分割後の株数を分割前の株数の1.2倍にすることを意味します。株式分割時点で100株保有する投資者に、新株20株を与えて保有株数を120株にします。すべての株主の持ち株が1.2倍になるので、株主の相対的な地位は変わりません。

株式は持ち主を移転するのに手間がかかります。それで、新株をもらう権利が確定する日の3営業日前までに株式を買う契約をしておかなければなりません。権利確定日の3営業日前を権利付最終売買日といいます。

権利確定日の2営業日前を権利落日といいます。権利落ち日に株式を買う契約をしても、権利確定日までに株式が届きませんので、新株を受け取ることができません。

月曜から木曜のすべての日が営業日だとしましょう。権利確定日が木曜なら、権利付最終売買日は月曜、権利落ち日は火曜となります。

月 権利付最終売買日
火 権利落日

木 権利確定日


3 権利落ち相場

株式分割によって新株が発行されますので、分割前後の株価をそのまま比べることはできません。分割後の株価を調整して、分割前の株価と比べることになります。

時価1,500円の株式について、1:1.2の株式分割を行うことを例に考えましょう。分割後に株数が1.2倍になるのですから、株価は分割前の株価の1/1.2倍になります。すなわち


計算結果から、権利付相場の1,500円は、権利落日の1,250円に対応することがわかります。この1,250円を権利落相場といいます。

権利落日の株価が1,300円になったとしましょう。この権利落相場と権利付相場の1,500円を比べるには、分割の係数1.2を掛けて分割後の株価を調整しなければなりません。

1,300円×1.2=1,560円

分割後の1,300円は分割前の1,560円に相当することがわかりました。実質的には60円値上がりしたことになります。

試験では、このような問題がよく出ますので、計算できるようにしておきましょう。理解してしまえば、それほど難しくありませんので…


4 株式ミニ投資

東京証券取引所に上場している普通株式は、100株ずつ売買しないといけません。次のリンク先にあるとおり、これを売買単位といいます。
https://www.jpx.co.jp/equities/improvements/unit/index.html

株式分割は、株価を下げて株を買いやすくするために行うことが多いです。上の例では、株式分割によって株価が1,500円から1,250円へ下がりました。100株買うときにかかる金額は15万円から12万5千円へ減ります。

もう1つ、株を買いやすくする方法に株式ミニ投資というものがあります。これは100株をまとめ買いできない零細な投資者が売買単位の10分の1(すなわち10株単位)を単位に売買するしくみです。

これは特殊な取引ですので、約款を交付し、証券会社と顧客が契約を結んでから取引をします。

* * *

このブログでは、各科目の幹となる用語や計算問題を紹介します。細かい用語や最新の法令・規則については、テキストや問題集で確認をお願いします。