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転換社債の例題:パリティ価格と乖離率(債券業務:その3)


今日は「債券業務」の第3回です。前回に引き続いて転換社債のしくみを紹介します。 

試験のキーワードになりそうな用語を赤色で示します。その他の色は、理解を助けるためにつけます。

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この単元のYouTube動画を作りました。ご覧ください。(若干の生活音や息継ぎ音が入ることがあります。音量を調節してみてください。)

(よろしければ、こちらからチャンネル登録お願いします)

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上の動画のポイントをまとめます。


1 転換社債型新株予約権付社債

前回の復習からはじめましょう。転換社債型新株予約権付社債とは、株式をある値段(転換価額)で買う権利がついた社債です。名前がとても長いので、単に転換社債ということがあります。

転換社債型とは、株式を得るときに社債を手放すことを意味します。新株予約権付とは、株式を得る権利を意味します。それで、株式を得る権利を行使するとき社債を手放して株式を得るしくみになっている社債を転換社債型新株予約権付社債といいます。


今日は、転換のタイミングを探るための指標、パリティ価格と乖離率について学びます。


2 転換のタイミング

下の図表を用いて、転換のタイミングを考えましょう。水色の右上がりの曲線は、転換前の転換社債の価格を表します。赤色の右上がりの線は、転換後の価格(パリティ価格)を表します。


投資家は、水色の曲線と赤色の線を比べて、高い方を選びます。

青色の曲線>赤色の線:転換せず、社債のままで保有
青色の曲線<赤色の線:転換して、株式を保有

パリティ価格から、転換社債の価格がどれほど離れているのかを率で表したものを乖離率といいます。パリティ価格が基準になりますので、乖離率がプラスであるとき、社債のままで保有することが有利です。乖離率がマイナスであるとき、株式に転換することが有利になります。


3 パリティ価格と乖離率

パリティ価格と乖離率を求めてみましょう。パリティ価格とは、転換後の価格です。転換価額で時価がつく株式に乗り換えますので、パリティ価格は次の式から得られます。



転換価額(分母)と引き換えに、株式(分子)を得ます。最後に100をかけているのは、額面金額100円に基準化するためです。パリティ価格は転換して得られるものを表します。

乖離率は、パリティ価格を基準とした転換社債の価格を率で表したものです。「乗り換えないとき、何%得するか」を表します。


「乗り換えないとき、何%得するか」というのは、直線的ではない言い方ですが、このような立式になっていますので、しかたありません。乖離率がプラスであるとき、乗り換えないことが有利になります。乖離率がマイナスであるとき、乗り換えることが有利になります。

動画で紹介したLINEによる転換社債型新株予約権付社債の発行については、次のリンク先資料をご覧ください。
https://jp.reuters.com/article/line-bond-idJPKCN1LK0MT
https://scdn.line-apps.com/stf/linecorp/ja/ir/all/LINE_20180904_2.pdf

動画では計算問題を紹介しています。本番の対策として、パソコンの電卓を使って解いてみてください。

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このブログでは、各科目の幹となる用語や計算問題を紹介します。細かい用語や最新の法令・規則については、テキストや問題集で確認をお願いします。