今日は「財務諸表と企業分析」の第2回です。流動比率と固定比率を紹介します。
試験のキーワードになりそうな用語を赤色で示します。その他の色は、理解を助けるためにつけます。
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上の動画のポイントをまとめます。
1 流動と固定
国際会計基準では、資産と負債は、流動項目と固定項目に分けて表示するよう定められています。よく用いられる分類基準は次の2つです。・正常営業循環基準
・1年基準
正常営業循環基準とは、企業の通常の営業活動によって生じる売掛金などを流動資産、買掛金などを流動負債に分類する基準です。1年基準とは、企業の主な営業外の活動によって生じる貸付金のうち決算から1年以内に返済をうけるものを流動資産、借入金のうち決算から1年以内に返済すべきものを流動負債に分類する基準です。
流動資産以外の資産を固定資産、流動負債以外の負債を固定負債に分類します。固定資産の例として、建物、機械装置、土地、ソフトウェアなどがります。これらは1年以上使い続けます。固定負債の例として、長期借入金や社債などがあります。これらは決算から1年を超えた後、返済するものです。
国際会計基準(IAS)第1号に「財務諸表の表示」があります。
https://www.iasplus.com/en/standards/ias/ias1
流動・固定の区別に関する日本語の資料は、次のリンク先の審議事項(3)-5を参照してください。
https://www.asb.or.jp/jp/project/proceedings/y2009/2009-0604.html2 流動比率
流動比率とは、流動負債に対する流動資産の比率です。1年以内に払うべきものを、1年以内に現金化できるものでまかなえるかを表します。この値は高い方がよいとされています。一般に、200%以上が望ましいとされています。
流動資産の中には、不良在庫や取り立てが難しい売掛金も含まれているかもしれません。仕掛品や原材料なども製造の過程でミスをして売れなくなってしまうかもしれません。流動資産には現金化できないリスクのあるものも含まれています。このリスクを厳しめにみて、200%という目安が設定されています。
もっと厳格に流動性を調べたいときには、当座比率を用います。当座比率は、流動負債に対する当座資産の比率です。
当座資産は、流動資産から棚卸資産を除いたものです。棚卸資産とは在庫のことです。在庫は、売れる見込みが立たない不動在庫や、保管中に品質が悪くなってしまった不良在庫が混じることがありますので、それを除いた当座資産で流動性を評価します。
より現金化しやすい当座資産で評価しますので、100%以上が望ましいとされています。
3 固定比率
固定比率とは、自己資本に対する固定資産の比率です。自己資本の中核をなす資本金と資本準備金は、ふつう取り崩しません。この返済する必要がない資金の範囲内に、現金化しにくい固定資産がおさまれば、財務は健全だと判断します。
(株主からの出資金はタダではありません。返済の必要はありませんが、株主が求める利回りは確保しなければなりません。利回りが確保できなければ、株は値下がりしてしまいます。株が下がると、経営陣は株主総会で退陣を迫られるかもしれません。あるいは、ファンドに安値で買収されてしまうかもしれません。)
4 固定長期適合率
固定比率は、かなり保守的な指標です。多くの企業は、長期借り入れで工場を建てたり機械設備を購入したりしています。そのような経営実態により近い指標として固定長期適合率があります。この指標は固定比率の分母に非支配株主持分と固定負債(長期借り入れの残高)を加えています。与えられた数値をもとに、複数の指標を計算する5択問題が出るようです。少し大変ですが、複数の指標をあわせて使いこなせるようにしておきましょう。
動画の終わりに紹介したアスクルについては、次のリンク先を参照してください。
https://www.askul.co.jp/kaisya/ir/graph/finance.html#t02
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1702/16/news078.html
https://www.sankei.com/affairs/news/171110/afr1711100020-n1.html
動画では計算問題を紹介しています。本番の対策として、パソコンの電卓を使って解いてみてください。
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このブログでは、各科目の幹となる用語や計算問題を紹介します。細かい用語や最新の法令・規則については、テキストや問題集で確認をお願いします。