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損益分岐点(財務諸表と企業分析:その4)


今日は「財務諸表と企業分析」の第4回です。損益分岐点を紹介します。 

試験のキーワードになりそうな用語を赤色で示します。その他の色は、理解を助けるためにつけます。

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この単元のYouTube動画を作りました。ご覧ください。(若干の生活音や息継ぎ音が入ることがあります。音量を調節してみてください。)

(よろしければ、こちらからチャンネル登録お願いします)

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上の動画のポイントをまとめます。


1 変動費と固定費

会社を運営するのにかかる費用は、変動費と固定費に分けることができます。

変動費は、売上とともに変わる費用です。商品の仕入代金、原材料費、水道光熱費、販売促進費などは売上が少ないときに少なく、売上が多いときに多い傾向にあります。これらは変動費の例です。

固定費は、売上にかかわらずかかる費用です。家賃、減価償却費、人件費の大部分などは売上が立たなくても払わなければなりません。これらは固定費の例です。


2 損益分岐点売上高

損益分岐点売上高とは、利益が0になる売上の水準です。利益は売上と費用の差です。ここで、費用は変動費と固定費の和ですから

利益=売上ー(変動費+固定費)=0

少し複雑な式ですので、下の図表で理解しましょう。この図表は横軸に売上、縦軸に売上と費用を取っています。固定費は売上にかかわらずかかる費用ですので、高さが変わらない長方形で表されます。変動費は売上とともに変わる費用ですので、売上が多くなるにしたがい増える三角形で表されます。

売上は横軸・縦軸両方にありますので、45度線になります。損益分岐点売上高は、固定費(長方形)と変動費(三角形)を積み上げた高さと売上高が等しい点から導かれます。




3 式の導出

上のグラフの損益分岐点売上高を求める式を導きましょう。利益が0となる点ですので

売上ー(変動費+固定費)=0

固定費を右辺に移項して

売上ー変動費=固定費

少しトリックを使って



左辺に売上だけ残すと、損益分岐点売上高の式になります。


右辺の()の中は限界利益率です。限界利益率に対する固定費の比率が損益分岐点売上高になります。


4 損益分岐点比率

売上に対する損益分岐点売上高の比率を損益分岐点比率といいます。


この比率が1を下回って低いとき、会社に余裕があります。たとえば、損益分岐点比率が75%であれば、売上が25%下がるまで利益を上げ続けれられることを意味します。

動画の終わりに紹介した損益分岐点比率については、次のリンク先を参照してください。
https://media.rakuten-sec.net/common/dld/pdf/595d32ef5e96ceb735ca03beef4247a8.pdf

動画では計算問題を紹介しています。本番の対策として、パソコンの電卓を使って解いてみてください。

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このブログでは、各科目の幹となる用語や計算問題を紹介します。細かい用語や最新の法令・規則については、テキストや問題集で確認をお願いします。