今日は「債券業務」の第4回です。これまで学んできた社債と転換社債の値動きについて説明します。
試験のキーワードになりそうな用語を赤色で示します。その他の色は、理解を助けるためにつけます。この単元には動画がありません。
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1 社債
発行した後に金利が変動すると、社債の価格は変わります。金利が上がると、社債の利子の魅力は下がりますので価格は下がります。金利が下がると、社債の利子の魅力は高まりますので価格は上がります。利率2%で社債を発行した後、金利が3%に上がれば、社債で運用するより、銀行に預けた方がより多くの利子を得られます。それで社債の魅力が下がり、価格が下がります。
外務員試験では、金利が変動する要因として金利商品の価格、金融政策、会社の信用力、景気が問われます。
金利に関係する金融商品にはコール、手形、CP(コマーシャルペーパー)、CD(譲渡性預金)などがあります。これらの金利が上がると、社債の利子の魅力は下がりますので価格は下がります。これらの金利が下がると、社債の利子の魅力は高まりますので価格は上がります。
金融商品の金利上昇 → 社債価格下落
金融商品の金利低下 → 社債価格上昇
金融引締政策とは、日本銀行が金利を上げる政策です。金利が上がりますので、社債の価格は下がります。金融緩和政策とは、日本銀行が金利を下げる政策です。金利が下がりますので、社債の価格は上がります。
金融引締政策 → 社債価格下落
金融緩和政策 → 社債価格上昇
社債を発行した会社の経営がおかしくなると、社債の利払いが滞ったり額面の返済ができなくなったりします。そのような怖れがどれくらいあるのかを表すのがクレジットスプレッドです。クレジットとは、会社の評判のことです。スプレッドとは評判のランクのことです。会社の評判が悪くなると、クレジットスプレッドが拡大し、社債の価格は下がります。会社の評判が良いとき、クレジットスプレッドが縮小し、社債の価格は上がります。
評判悪化 → スプレッド拡大 → 社債価格下落
評判好転 → スプレッド縮小 → 社債価格上昇
景気が良いとき、お金を借りたい人や企業が増えます。お金の需要が高まりますから、お金の値段とも言える金利は上がります。また、景気が良いときにはインフレになりがちです。インフレは金利に上乗せされると考えられていますので、金利は上がります。景気が悪いときはこの逆になります。
好景気:借り手が多い、インフレ → 金利上昇 → 社債価格下落
不景気:借り手が少ない、デフレ → 金利低下 → 社債価格上昇
社債の価格は、金利と逆に動くことを覚えておきましょう。
2 転換社債
転換社債型新株予約権付社債は普通の社債より複雑なしくみを持ちます。したがって、価格が動く要因も増えます。外務員試験では、上で説明した金利要因の他に、株価と株価のボラティリティが問われます。転換社債は、社債から株式へ乗り換えることができる社債です。したがって、株価が下がれば転換社債の魅力が下がり、価格は下がります。株価が上がれば転換社債の魅力が高まり、価格は上がります。
株価下落 → 転換社債価格下落
株価上昇 → 転換社債価格上昇
ボラティリティとは株価の変動率のことです。株価があまり動かないとき、乖離率がマイナスになるところまで株価が上がる可能性は低くなります。転換のオプション価値が低くなりますので価格は下がります。株価が大きく動くとき、乖離率がマイナスになるところまで株価が上がる可能性は高くなります。転換のオプション価値が高まりますので価格は上がります。
ボラティリティ低下 → 転換社債価格下落
ボラティリティ上昇 → 転換社債価格上昇
「オプション価値」については、外務員一種で問われます。外務員二種の段階ではこれくらいの知識で大丈夫です。
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このブログでは、各科目の幹となる用語や計算問題を紹介します。細かい用語や最新の法令・規則については、テキストや問題集で確認をお願いします。