今日は「財務諸表と企業分析」の第6回です。この分野でよく出題されるこまごまとした用語や考え方を紹介します。堅苦しい言葉が多くなりますが、試験の問題文もこのような言葉で書かれています。少しずつ慣れていきましょう。
試験のキーワードになりそうな用語を赤色で示します。その他の色は、理解を助けるためにつけます。この単元には動画がありません。
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1 計算書類と財務諸表
計算書類は、取引先に会社の状況を知らせるための書類です。大会社(会社法2条6号:資本金5億円以上または負債200億円以上)は、次の書類を作成し、公表しなければなりません(会社計算規則61条)。損益計算書:一定期間における経営成績
貸借対照表:一定時点における財政状態
株主資本等変動計算書
連結注記表
財務諸表は、投資者に会社の状況を知らせるための書類です。有価証券報告書を提出する会社は、次の書類を作成し、公表しなければなりません(金融商品取引法131条、財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則1条)。
損益計算書
貸借対照表
株主資本等変動計算書
キャッシュフロー計算書
製造原価報告書(製造業)
附属明細表
キャッシュフロー計算書とは、営業・投資・財務によって生じる現預金の増減を記録する書類です。営業キャッシュフローについては、株価キャッシュフロー倍率(PCFR)の回に説明しました。
私たちのような個人投資家も投資しますので、金融商品取引法は、会社法より多くの情報を提供するよう会社に求めています。外務員の学習分野が「財務諸表と企業分析」になっているのは、外務員が投資者に接する仕事であるためです。
2 連結財務諸表
複数の会社がグループとして運営されることがあります。これを企業集団といいます。企業集団全体のようすをあらわす書類を連結財務諸表といいます。どこまでを連結対象とするのかについて、次のような用語があります。
子会社:親会社が議決権の50%超を所有している会社など
非連結子会社:親会社による支配が一時的である会社
関連会社:親会社が議決権の20%以上を所有している会社など
子会社、関連会社については、議決権の比率が基準を満たしていなくても、実質的な状況をみて、子会社、関連会社とすることもあります。この点が試験で問われますので覚えておきましょう。
子会社には連結法を適用します。まず親会社と子会社の数値を合算し、その後で非支配株主持分を除きます。非連結子会社と関連会社には持分法を適用します。関連会社の損益だけを営業外利益に計上します。
子会社は親会社と一体、非連結子会社と関連会社は親会社による株式投資と考えるとわかりやすいかもしれません。くわしくは次のリンク先の資料をみてください。
https://www.asb.or.jp/jp/wp-content/uploads/spe-tanki_1.pdf
https://www.asb.or.jp/jp/wp-content/uploads/zaigai_2015_3.pdf
3 自己資本比率と負債比率
これまで紹介してきた流動比率、総資本回転率、配当率などの他にも、試験に出る比率がいくつかあります。ここでは安全性をみる自己資本比率と負債比率を紹介します。自己資本比率とは
この比率が高い会社は、不況に強く健全な発展が期待できる会社です。負債比率とは
分子の負債総額は流動負債と固定負債の合計です。この比率は100%以下が望ましいとされています。
他にも細かい指標や用語がありますが、今回紹介したものから優先的に覚えると効率的だと思います。
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このブログでは、各科目の幹となる用語や計算問題を紹介します。細かい用語や最新の法令・規則については、テキストや問題集で確認をお願いします。