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株価純資産倍率:PBR(株式業務:その3)


今日は「株式業務」の第3回です。試験によく出る株価純資産倍率(PBR)を紹介します。 

試験のキーワードになりそうな用語を赤色で示します。その他の色は、理解を助けるためにつけます。

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この単元のYouTube動画を作りました。ご覧ください。(若干の生活音や息継ぎ音が入ることがあります。音量を調節してみてください。)

(よろしければ、こちらからチャンネル登録お願いします)

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上の動画のポイントをまとめます。


1 純資産

資産とは、会社の持ち物です。会社は現預金、在庫、売掛金などの流動資産と、工場、本社ビル、のれんなどの固定資産を持ちます。

負債とは、会社が集めた資金のうち、あとで返済することを約束して借りたお金です。買掛金や1年以内に返済する銀行借入れなどの流動負債と、1年より先に返済する銀行借入れ、社債などの固定負債があります。

純資産は資産と負債の差額です。株主が出資した資金である資本金や、株主に帰属する利益が会社に蓄積されたものなどからなります。「純資産は、株主に帰属する会社の財産」と大まかに覚えましょう。

純資産の厳密な定義については、会計基準に関する次の資料を参照してください。
https://www.asb.or.jp/jp/wp-content/uploads/bs_s.pdf

(純資産から非支配株主持分等を除いた自己資本を使うのがより望ましいと思われます。詳しくは自己資本利益率の単元で説明します。)


2 1株純資産(BPS)

株主に帰属する純資産は、その会社がすでに発行した株式に均等に分け与えられます。前回説明したように、均等に切ったケーキが、みんなに分け与えられる感じ(🎂→🍰)です。

ケーキがいくら大きくても、たくさんの人で分けるのであれば、1人の取り分はとても薄くなってしまいます。同じように、会社の純資産が多くても、株数もとても多ければ、1株に配分される財産は少なくなります。したがって、投資家は1株当たりの純資産を気にします。

1株当たり純資産のことを、英語でBPS(Book-value Per Share)といいます。



3 株価純資産倍率(PBR)

株価と純資産(BPS)の比率を株価純資産倍率といいます。英語でPBR(Price Book-value Ratio)といいます。


PBRは「株価は純資産の何倍か」を表します。PBR=0.8なら投資者の評価は簿価の0.8倍、PBR=2.0なら投資者の評価は簿価の2倍となります。

PBRが1を下回るとき、投資者は「会社の財産は決算書に書いてあるより少ない」と評価しています。PBRが1を上回るとき、投資者は「会社の財産は決算書に書いてあるより多い」と評価しています。

PBRが高すぎるとき、投資家は会社の財産を過大評価しているかもしれません。PBRが低すぎるとき、投資家は会社の財産を過小評価しているかもしれません。株の値ごろ感を探るための指標です。

下のリンク先からここ7, 8年のPBRをみると、おおよそ1-1.4倍のあいだを推移しています。多くの場合、投資家は決算書より低く評価することはありませんが、2倍、3倍にも評価していないようです。投資家のバランス感覚が伺えます。
https://nikkei225jp.com/data/per.php

PBRは業種によって異なります。おなじ業種の会社を比べるときに使いましょう。

動画では計算問題を紹介しています。本番の対策として、パソコンの電卓を使って解いてみてください。

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このブログでは、各科目の幹となる用語や計算問題を紹介します。細かい用語や最新の法令・規則については、テキストや問題集で確認をお願いします。