今日は「債券業務」の第2回です。転換社債のしくみを紹介します。
試験のキーワードになりそうな用語を赤色で示します。その他の色は、理解を助けるためにつけます。
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上の動画のポイントをまとめます。
1 転換社債型新株予約権付社債
転換社債型新株予約権付社債とは、株式をある値段(転換価額)で買う権利がついた社債です。名前がとても長いので、このブログでは、単に転換社債と書くことがあります。転換社債型とは、株式を得るときに社債を手放すことを意味します。新株予約権とは、株式を得る権利を意味します。株式を得る権利を行使するとき、社債を手放して株式を得るしくみになっている社債を転換社債型新株予約権付社債といいます。
普通の社債ではなく、このような複雑なしくみの社債を用いるのは、投資者・発行者双方にメリットがあるためです。
投資者には、株が値上がりしたとき、社債を株に換えられるメリットがあります。発行者には、予約権の分だけ利子の支払いを減らせるメリットがあります。さらに、社債が株に転換されれば、額面金額を返済する必要もなくなります。手元に現預金を置いておきたい成長途上の会社にとって、この社債はとても便利です。
2 転換価額の設定
転換価額とは、社債を株式に転換するときの株価です。これは発行するときにあらかじめ定めます。転換価額は、株式の時価より少し高く設定します。転換価額株の時価より低く設定してしまうと、取引所で株を買うより安く買えますので、投資者はすぐ社債を株に転換してしまいます。(社債として発行する意味がなくなってしまいます…)
たとえば、下の図のように、株の時価が1,200円であるとき、転換価額を1,500円に設定します。
3 アップ率
転換価額と株の時価の差を比率で表したものをアップ率といいます。
上の数値を例に計算すると
転換価額は、株の時価の25%増しで設定されています。
4 取得株数
転換価額で社債1口を株式に換えると、何株得られるのでしょうか。得られる株数は、転換社債の額面を転換価額で割って求めます。
たとえば、転換社債の額面が100万円、転換価額が1,500円であるとき、取得株数は
666株取得できます。端数の0.666…株は、現金で払うか、切り捨てます。現金で払うとき、1株1,500円ですので
1,500×0.666=1,000
発行者は投資者に1,000円を払うことになります。
転換社債は難しい単元ですので、今回はここまでとします。次回は転換のタイミングを測るパリティ価格や乖離率について紹介します。是非つづけてご覧ください。
動画では計算問題を紹介しています。本番の対策として、パソコンの電卓を使って解いてみてください。
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このブログでは、各科目の幹となる用語や計算問題を紹介します。細かい用語や最新の法令・規則については、テキストや問題集で確認をお願いします。