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総資本回転率、総資本回転期間(財務諸表と企業分析:その3)


今日は「財務諸表と企業分析」の第3回です。総資本回転率と総資本回転期間を紹介します。 

試験のキーワードになりそうな用語を赤色で示します。その他の色は、理解を助けるためにつけます。

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この単元のYouTube動画を作りました。ご覧ください。(若干の生活音や息継ぎ音が入ることがあります。音量を調節してみてください。)

(よろしければ、こちらからチャンネル登録お願いします)

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上の動画のポイントをまとめます。


1 回転

総資本回転率の「回転」とは、売上が総資本と同額になることを意味します。総資本の周りを売上がぐるぐる回るイメージです。勢いよく何度も回るとき、経営はうまくいっていると判断します。

回転率は、1年度に何回売上が総資本と同額になったかを表します。回転期間は、何か月おきに売上が総資本と同額になったかを表します。どちらも、総資本がどれくらい効率的に売上に結びついたかを表します。


2 総資本回転率と回転期間

総資本回転率とは、総資本に対する売上の比率です。


分母の総資本を期首・期末の平均とするのは、分子の売上が期間の概念だからです。「1年度をとおしていくら売り上げたか」を分子に取りますので、分母もそれにあわせて「1年度の平均的な総資本の額」を取ります。

総資本回転期間とは、総資本回転率の逆数です。


総資本回転期間は月単位で測りますので、逆数に12を掛けます。


3 総資本回転率と総資本利益率(ROA)

総資本利益率(ROA)とは、総資本に対する純利益の比率です。(ここでは、分子に当期純利益を取ります。理論上は、総資本は銀行借入などを含むので、EBITなど支払利息控除前の利益をとる方が望ましいです。)



総資本回転率も総資本利益率も、分母に総資本の期首・期末平均があります。少しだけ式を変形してみましょう。


1つめの分数は売上高純利益率、2つめの分数は総資本回転率です。売上高純利益率が一定だと仮定すると、総資本利益率を高めるためには、総資本回転率を高めなければなりません。この点は○×問題でよく問われているようです。

総資本回転率を高めるには、遊休資産を減らし、売上に結びつく資産を多く保有しなければなりません。昔、大企業の寮やグラウンドであったところが売却され、跡地にマンションが建つことを見ることがありますが、これは総資本回転率を高めるための行動です。

動画の終わりに紹介したブリヂストンについては、次のリンク先を参照してください。
https://www.bridgestone.co.jp/ir/financialdata/assets/index.html

動画では計算問題を紹介しています。本番の対策として、パソコンの電卓を使って解いてみてください。

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このブログでは、各科目の幹となる用語や計算問題を紹介します。細かい用語や最新の法令・規則については、テキストや問題集で確認をお願いします。