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その他の分野(金融商品の勧誘・販売に関する法律、セールス業務)


今日はその他の分野から、主要事項を紹介します。その他の分野とは、金融商品の勧誘・販売に関する法律とセールス業務の分野です。

試験のキーワードになりそうな用語を赤色で示します。その他の色は、理解を助けるためにつけます。

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この単元のYouTube動画を作りました。ご覧ください。(若干の生活音や息継ぎ音が入ることがあります。音量を調節してみてください。)

(よろしければ、こちらからチャンネル登録お願いします)

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上の動画のポイントをまとめます。


1 板寄せ方式の値決め

前回、売買立会時に取引を成立させる方法に、板寄せ方式とザラ場方式があることを紹介しました。ここでは、板寄せ方式の値決めについて説明します。

動画では、取引開始直前の板(注文表)のようすは次のようになっています。真ん中の列は価格を表しています。市場に出された売り注文は左側に、買い注文は右側に集計されています。


例えば、105円に出された売り注文は全部で2万株あります(2万株は複数の投資者が提出した注文の合計と考えましょう)。また、102円に出された買い注文は全部で5万株あります。

「成行」の行は、成行注文の合計を表します。前回説明したように、成行注文は、価格を指定せずに出す注文です。したがって、価格が書いていない行(一番上の行)に注文数を書きます。

板寄せ方式では、まずすべての成行注文を執行します。この例では、売り注文5万株、買い注文2万5千株です。5万個売りに出されて、2万5千個買われるわけですから、この段階で、2万5千株を付け合わせることができました。

第1段階:成行の売りと買いで25,000株

売れ残った買いの成行注文2万5千株は、指値注文と付け合わせます。前回学んだように、指値注文には価格優先の原則があります。これは、不利な価格に出された注文から取引を成立させるという原則です。高い価格に出された買い注文から、低い価格に出された売り注文から取引を成立させます。図表では


売りの成行注文2万5千株、101円に出された売り指値注文6千株、102円に出された売り指値注文5千株を合わせると3万6千株になります。これに対して、105円に出された買い指値注文1万4千株と104円に出された買い指値注文2万2千株を合わせると3万6千株になります。売り買い同数ですので、この段階で、新たに3万6千株の付け合わせができました。

第2段階:成行の売れ残りと指値で36,000株

第2段階までで、板のようすは次のようになりました。


103円に売り指値注文2万株、買い指値注文1万5千株があります。2万個売りに出して1万5千個買われますので、1万5千個売れます。

第3段階:103円の指値で15,000株

結果として、第1段階で25,000株、第2段階で36,000株、第3段階で15,000株の付け合わせができました。合計すると76,000株の取引を成立させることができます。


取引価格は、76,000株すべてについて103円です。東京証券取引所のシステムは、前場と後場のはじめに、取引を成立させうるすべての銘柄について、このような処理を行います。


2 取引時の説明、確認

金融商品の勧誘・販売に関係する法律の分野は、配点が低いことが予想されます。いくつかの問題集の情報を総合すると、300点満点のうち1桁台の配点のようです。よって、試験直前に暗記するのが良いかと思います。

金融商品の販売を業として行うとき、口頭または書面で重要事項を説明しなければなりません。重要事項とは、元本の欠損損失の恐れがあることや権利行使期間に制限があることなどです。

説明を怠ると、故意又は過失を問わず、説明義務違反となります。

顧客からの預かり財産が犯罪による収益による疑いがあるときは、速やかに行政庁へ届出なければなりません。放置してはいけません。

取引の記録は7年保存しなければなりません。(動画では5年と書いてしまいましたが、正しくは7年です。お詫びして訂正いたします🙇‍♂️)


3 外務員の業務

セールス業務の分野は、配点が低いことが予想されています。いくつかの問題集の情報を総合すると、300点満点のうち10点くらいの配点のようです。よって、この分野も試験直前に暗記するのが良いと思います。

外務員は、あくまで顧客の投資者にアドバイスをする立場です。投資の最終決定は投資者がします。投資者の的確な意思決定をサポートするために次のようなことに気をつけます。

・金融商品の特徴を十分に理解してもらう
投資目的資金量にふさわしくない投資を再考してもらう
・将来の値動きについて断定的判断を提供してはならない

実際に勧誘等をするとき、このあたりの線引きはとても難しいのですが、原則にしたがうことが重要だと思います。


4 倫理コードとIOSCO行動規範

このトピックもセールス業務の分野ですので、試験直前に暗記することをお勧めします。IOSCO(証券監督者国際機構)が行動規範を、日本証券業協会が倫理コードを定めています。IOSCOについては、次のリンク先資料をご覧ください。
https://www.fsa.go.jp/inter/ios/ios_menu.html

IOSCOの行動規範は、金融商品取引業者が次のようなことに気をつけるべきだとしています。

・顧客の最大の利益及び市場の健全性を図るべく行動すること
情報の十分な開示利益相反の回避に努めること

日本証券業協会の倫理コードには

・投資者の知識経験目的財産を把握しアドバイスすること
誠実かつ公正に業務を遂行、自己責任原則を確立すること

が記されています。このあたりのことは、協会定款・諸規則の分野と重なります。多くの問題に当たることで、「これくらいが常識の範囲内かな」という相場観が持てると答えやすくなると思います。

今日は複数の分野を取り上げました。問題集に書いてある予想配点をよく見て、それと比例する形で勉強時間を配分すると効率的だと思います。工夫してみてください。

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このブログでは、各科目の幹となる用語や計算問題を紹介します。細かい用語や最新の法令・規則については、テキストや問題集で確認をお願いします。