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協会定款と諸規則の細則(協会定款・諸規則:その2)


今日は「協会定款・諸規則」の分野から、その細則を紹介します。

試験のキーワードになりそうな用語を赤色で示します。その他の色は、理解を助けるためにつけます。

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この単元のYouTube動画を作りました。ご覧ください。(若干の生活音や息継ぎ音が入ることがあります。音量を調節してみてください。)

(よろしければ、こちらからチャンネル登録お願いします)

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上の動画のポイントをまとめます。


1 従業員の禁止行為

日本証券業協会は、証券会社等の従業員による次のような行為を禁じています。

まず、顧客の投資者が売買したり名義書換えをするとき、自己、架空、他人の名義を使うことは禁止されています。「自己の名義」とは、証券会社等に勤める従業員の名義ということです。他の人の名義で売買したり名義書換えしたりすることは禁じられています。

顧客と損益を共にしたり、顧客とお金や証券の貸し借りをしたり、顧客の取引の相手方になることも禁じられています。「顧客と損益を共にする」とは、顧客が儲けたときその一部を受け取り、損したときその一部を蒙ることを意味します。証券会社等の従業員は、顧客とお財布を一緒にして損得勘定してはいけません。

また、社内と広告審査担当の審査を受けずに、従業員限りで顧客に広告や景品を提供することも禁じられています。たかが景品といっても、見方を変えれば利益供与になってしまいます。それを一従業員の判断でしてしまうと、上で説明した「顧客と損益を共にする」状態に限りなく近づいてしまいます。それを事前に避けるために、社内の広告審査担当の審査を受けます。


2 従業員の不適切行為

日本証券業協会は、従業員が次のような行為をしないよう指導又は監督をするよう証券会社等に求めています。こちらは禁止行為と異なり、確認ミスやうっかりをなくしましょうという努力義務です。

まず、証券取引の性質又は条件について、顧客に誤認させないよう指導しなければなりません。証券取引について研修をするなどして、従業員が顧客の投資者に間違いないく説明できるように努めなければなりません。

顧客が注文した証券の銘柄、価格、数量、注文の種類を確認せずに執行しないように気をつけなれけばなりません。顧客の注文を執行する際、過失により事務処理を誤らないよう、気をつけなければなりません。

2005年、ジェイコムという会社の株の取次で誤発注が起きました。「61万円で1株売る」という注文を「一円で61万株売る」ものとして発注してしまいました。株価は短期に暴落と暴騰をしました。下の1つめのリンク先には、被害総額400億円と書いてあります。2つめのリンク先には、当時の板の様子を表す動画があります。
http://www.shippai.org/fkd/cf/CZ0200714.html
https://www.youtube.com/watch?v=bH9iFQc294E

たった一回の誤発注で400億円の損失を出すこともありますので、証券会社にとっても死活問題です。


3 証券外務員二種の業務範囲

外務員の資格を取得しただけでは、外務行為を行うことはできません。勤め先の証券会社などが協会に登録してから外務行為を行うことができます。

登録後は、知識をアップデートするために、毎年社内研修を受ける必要があります。さらに、5年に1回日本証券業協会の資格更新研修も受けなければなりません。一度取得した外務員の資格は、期限切れとなることはありませんが、法律や制度は年々少しずつ変わりますので、社内外の研修を受けることになります。

外務員資格の取得を目指しているみなさんはご存知かと思いますが、外務員には一種と二種があります。二種を合格した後、一種を受験します。一種の方が上位の資格です。

したがって、一種まで取得している人の業務範囲は、二種だけを持っている人の業務範囲より広くなります。

二種外務員は、株式、社債、国債、投資信託の受益証券などを取り扱うことができます。一種外務員は二種の業務範囲に加えて、新株予約権、デリバティブ、カバードワラントといった派生証券も取り扱うことができます。(信用取引については、一種外務員が同行すれば二種外務員も取り扱うことができます。)

一種と二種の問題集を比べると、3分の2くらいが同じ分野であることがわかります。一種の問題集は、二種の出題分野に信用取引、先物取引、オプション取引、そして特定店頭デリバティブ取引等が加わります。

二種を取得できた人は、それほどの苦労なく一種も取得することができます。その意味でも二種の試験範囲をしっかり固めることはとても重要になります。


4 協会員の構成

日本証券業協会は協会員によって構成されます。協会員は会員、特別会員、特定業務会員からなります。

証券会社など、金融商品取引法28条に定める第一種金融商品取引業を営む法人は、会員に分類されます。銀行、生損保、短資会社、証券金融など証券の取引に関係する金融機関は、特別会員に分類されます。特定店頭デリバティブのIDB(インターディーラー・ブローカー)などは特定業務会員に分類されます。

下のリンク先から、現在の協会員数をみると次のようになります。

会員:265社
特別会員:205社
特定業務会員:8社
http://www.jsda.or.jp/kyoukaiin/kyoukaiin/index.html

証券取引を円滑ならしめるために努力している多くの協会員の集まり、それが日本証券業協会です。

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このブログでは、各科目の幹となる用語や計算問題を紹介します。細かい用語や最新の法令・規則については、テキストや問題集で確認をお願いします。