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経済統計(経済・金融・財政の常識:その1)


今日は「経済・金融・財政の常識」の分野から、経済統計を紹介します。

試験のキーワードになりそうな用語を赤色で示します。その他の色は、理解を助けるためにつけます。

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この単元のYouTube動画を作りました。ご覧ください。(若干の生活音や息継ぎ音が入ることがあります。音量を調節してみてください。)

(よろしければ、こちらからチャンネル登録お願いします)

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上の動画のポイントをまとめます。


1 国内総生産

経済統計で最も重要なのは国内総生産(GDP)です。GDPは生産、分配、支出の3側面から測ります。測り方が3とおりあっても、測るものはGDPで変わりませんので、値は同じになります。これを三面等価の原則といいます。

試験によく出るのは分配側GDPの内訳です。内訳は次式のとおりです。

GDP=雇用者報酬+営業余剰+固定資本減耗+(間接税ー補助金)

雇用者報酬とは私たちの給与の総額です。営業余剰とは企業のもうけの総額です。固定資本減耗とは設備の劣化などに伴う評価額の減少分です。間接税と補助金の差は調整項目です。この式は長いのですが、残念ながら覚えるしかありません…


2 家計貯蓄

GDPに関係する経済用語に家計貯蓄というものがあります。家計貯蓄は次の式によって定義されます。

家計貯蓄=可処分所得ー消費支出

可処分所得とは、所得から社会保険料を差し引きした後に残る、消費に回せる金額のことです。そこから消費に使った金額を引いたものが家計貯蓄となります。

家計簿をつけている人は、収入から買い物などに使ったお金の残りを貯金するイメージがつかめると思います。それを国単位で捉えたものと考えておきましょう。(資格試験では、この理解で大丈夫です。)

可処分所得に対する家計貯蓄の比率を貯蓄率といい、可処分所得に対する消費支出の比率を消費性向といいます。



3 景気統計

外務員試験によく出る景気指標は、日銀短観と景気動向指数です。

日銀短観とは、日本銀行が3か月おきに実施する企業向けのアンケート調査です。

景気動向指数とは、複数の経済統計を総合して毎月作成する、景気を測る指標です。指数には、先行・一致・遅行の3種類があります。それぞれの指数の基礎資料を例示すると次のようになります。

先行指数(景気に先行して動く):新設住宅着工、東証株価指数
一致指数(景気に連動して動く):有効求人倍率
遅行指数(景気に遅れて動く) :完全失業率

指数にはCIとDIがあります。CI景気変動のテンポ(量感)まで捉えるのに対して、DI50%を基準に景気の方向感だけを捉えます。


4 雇用統計

経済の動きで、注目が集まるのは雇用情勢です。外務員試験によく出るのは、景気動向指数の基礎資料にもなる、有効求人倍率と完全失業率です。

有効求人倍率は次の式から算出します。


分子の有効求人数は、その月にハローワークに出された求人の数です。分母の有効求職者数は、その月にハローワークで職探しをした人の数です。求人が多いほど職探しはしやすくなりますので、この倍率は高い方が良いです

有効求人倍率が1より高いとき、いわゆる「売り手市場」になり、企業は求人を見つけにくくなります。反対に、倍率が1より低いとき、今度は「買い手市場」になり、求職者は仕事を見つけにくくなります。

完全失業率は次の式から算出します。


分子の完全失業者は、職探しをしていてまだ職を見つけられていない人の数です。分母の労働力人口は、働く意思がある人の数です。当然、仕事が見つからない人が少ない、つまり完全失業率は低い方が良いです。

有効求人倍率と失業率は逆向きに動くことに注意しましょう。好景気のとき有効求人倍率は高く、失業率は低くなります。不景気のとき有効求人倍率は低く、失業率は高くなります。

好景気 → 有効求人倍率、完全失業率
不景気 → 有効求人倍率、完全失業率

今日紹介した経済統計は、ニュースなどでも見かけます。日頃からニュースを見ると、自然に知っている用語が増えていくと思います。

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このブログでは、各科目の幹となる用語や計算問題を紹介します。細かい用語や最新の法令・規則については、テキストや問題集で確認をお願いします。