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義務、禁止事項等(金融商品取引法:その2)


今日は「金融商品取引法」の分野から、義務と禁止事を紹介します。

試験のキーワードになりそうな用語を赤色で示します。その他の色は、理解を助けるためにつけます。

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この単元のYouTube動画を作りました。ご覧ください。(若干の生活音や息継ぎ音が入ることがあります。音量を調節してみてください。)

(よろしければ、こちらからチャンネル登録お願いします)

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上の動画のポイントをまとめます。


1 義務

金融商品取引業者とそこで登録された外務員には、最良執行義務があります。これは、複数の市場で証券が取引されているとき、投資者にとって最も有利な市場で取引をしなければならないということです。

証券会社のホームページをみると、最良執行方針が掲げられています。下のリンク先から、大和証券の最良執行方針をみてください。最も取引が盛んな、流動性の高い市場に注文を取り次ぐと書いてあります。
http://www.daiwa.jp/policy/execution/

金融商品取引業者は、あらかじめ最良執行方針等を記した書面を顧客の投資者に交付しなければなりません。

金融商品取引業者とそこで登録された外務員は、顧客投資者の損失を補てんしてはいけません。顧客が業者に損失補てんを要求しただけでは処罰されませんが、業者や外務員が顧客に損失補てんを約束したり、実際に補てんを実行してしまうと罰せられます。損失補てんは第三者を介したものでも罰せられます。


2 不公正取引規制

金融商品取引業者とそこで登録された外務員は不公正な取引をしてはいけません。不公正な取引には風説の流布、仮装売買、馴合売買などがあります。

風説の流布とは、会社の業績や株価などについて、根拠のない噂を広めることです。たとえば「まだ報じられていないが、この会社は間もなく倒産する。今のうち株を売りましょう」とネットのSNSなどで煽り投稿をしておいて、売りが殺到し株価が暴落したタイミングで買い占めることは罰せられます。10年以下の懲役になりかねませんので絶対にやらないようにしましょう。

仮装売買とは、権利の移転や金銭の授受を目的としない取引のことです。たとえば、投資者が自らの買い注文と売り注文をぶつけて取引を成立させる「にぎやかし」をすることで、他の投資家をおびき寄せて利益を得ることは罰せられます。

馴合売買とは、売り手と買い手が通謀した取引のことです。「この株を、いつ、いくらで売買しよう」と示し合わせて売買し、値を吊り上げたりすることは罰せられます。

現在は、取引の全てが電子情報として記録されますので、こうした不公正取引はすぐに特定されます。くれぐれも関わらないようにしましょう。下のリンク先の資料を参照してください。2つめの資料にあるストリームという会社の株の値動きについては、3つめの資料(チャート)をみてください。2014年に急騰しています。
https://www.fsa.go.jp/sesc/support/hukousei/hukousei.htm
https://www.fsa.go.jp/sesc/message/20171228-1.htm
https://stocks.finance.yahoo.co.jp/stocks/chart/?code=3071.T&ct=z&t=ay&q=c&l=off&z=m&p=m65,m130,s&a=v


3 内部者取引規制

内部者取引規制は、いわゆるインサイダー取引規制です。インサイダー取引とは、会社関係者が、重要事実を利用し、公表前に取引することです。

会社関係者とは、会社の役員会計士顧問弁護士使用人(従業員)などのことです。これらの立場にある人は、いわゆる「中の人」として、他の人より早く情報を知ることができます。それを利用して取引すると、他の人より有利になってしまいます。

重要事実とは、新株を発行すること、株式を分割すること、資本金の減少、会社の業績予想などです。どれも株価に大きな影響を与えますので、これらの情報を利用して取引すると、他の人より有利になってしまいます。

公表とは、有価証券報告書や有価証券届出書が公衆の縦覧に供せられたとき(みんながみられるようになったとき)や、2つ以上の報道機関に対して公開し、それから12時間経過したときを意味します。

立場のある人は、なかなか個別株を売買するのは難しいです。それで、ETFを買って保有し続けたり、株式累積投資を活用したりしています。


4 開示規制

証券を発行するとき、証券を流通させるとき、発行体は情報を開示しなければなりません。

株式、社債、投資信託の受益証券を発行するとき、目論見書を公表します。これは、「証券を発行して集めた資金で何をするのか、行う事業によって、どのように投資家に報いるのか」をまとめた書類です。私たち個人投資家は、証券に投資する前に目論見書を読むべきです。

株式を流通させるときも、いくつかの書類を公表しなければなりません。決算を終えて3か月以内に、有価証券報告書を内閣総理大臣に提出します。経営状態が急変したときには、臨時報告書を提出します。試験では、「経営状態が急変したとき訂正報告書を提出する」などと出てきますが、このような文が○×問題で出たら、×が正答となります。

発行済株式総数の5%超を保有する投資者は、保有比率が5%を超えてから5日以内大量保有報告書を提出します。大株主は株主総会で大きな発言力を持ちますので、それが誰なのか分かるようにしておきます。

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このブログでは、各科目の幹となる用語や計算問題を紹介します。細かい用語や最新の法令・規則については、テキストや問題集で確認をお願いします。