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証券税制


今日は「証券税制」の分野から、その細則を紹介します。

試験のキーワードになりそうな用語を赤色で示します。その他の色は、理解を助けるためにつけます。

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この単元のYouTube動画を作りました。ご覧ください。(若干の生活音や息継ぎ音が入ることがあります。音量を調節してみてください。)

(よろしければ、こちらからチャンネル登録お願いします)

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上の動画のポイントをまとめます。


1 所得の区分

税法では、所得を10に区分しています。そのうち、外務員試験によく出る4つを紹介します。

・譲渡所得
・配当所得
・利子所得
・事業所得

譲渡所得とは、証券のキャピタルゲインのことです。キャピタルゲインは証券を売買することによって得られます。配当所得とは、株式の配当のことです。利子所得とは債券(社債、国債など)や銀行預金の利子のことです。事業所得とは、事業的規模で継続的に行う証券投資から得られる所得です。

ほかの6つの所得区分については、次のリンク先から確認してください。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1300.htm


2 税率

所得に適用される税率は、所得の区分によって異なります。譲渡所得、配当所得、利子所得には次の税率が適用されます。

住民税5%+所得税及び復興特別所得税15.315%20.315%

小数点以下の「.315」は復興特別所得税です。この税率は、所得税15%の2.1%として計算されます。

15%×2.1%=0.315%

この税は平成49年(令和18年?)まで適用されます。今後しばらくあり続けるということですね…

事業所得については、法人税の決まりに則って税率が決まります。


3 納税

納税の仕方の1つに確定申告があります。毎年2月ごろ、次のリンク先のような確定申告の広告を見ると思います。
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201301/1.html

証券投資で儲けたときも確定申告をします。最近は納税者自ら税額を計算して申告することもあります。そのとき、収入金額というものを確定させなければなりません。源泉徴収された税がある場合には、税引き前の金額に基づいて計算します。

配当控除を受けたい人は、総合課税にしてもらうために確定申告をすることがあります。課税所得1,000万円以下は10%、1,000万円超の部分は5%の控除となります。

課税所得の総額700万円弱くらいが損益の分岐点になっているようです。課税所得が分岐点以下なら確定申告をすると税率が低くなり、分岐点を超えると税率が高くなるようです。詳しくは次のリンク先を参照してください(最新の税制については、税務署に確認をお願いします。私は税理士ではありませんので…)
https://www.smbcnikko.co.jp/service/mailmagazine/1402/r40/150106/top.pdf

譲渡所得の確定申告をするとき、書類を書きます。次のリンク先は書類の雛形です。これに間違いなく記入するのは大変です…
http://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/yoshiki/02/pdf/a048.pdf

また、確定申告の書類提出も大変です。確定申告の時期、税務署はとても混雑しています。悪くすると、1分くらいで終わる書類確認のために、2時間3時間立ちっぱなしで列に並ぶこともあります。還付を受ける人はそれでも並ぶのでしょうが、税を上乗せして納めないといけない人にとっては苦痛以外の何ものでもありません。

確定申告でこうした苦痛を感じたくない人は、源泉徴収の特定口座を開設します。開設するとき、特定口座源泉徴収選択届出書を提出します。源泉徴収の特定口座は、金融商品取引業者ごとに開設することができます。

(野村證券と大和証券に口座を開いて取引しているのであれば、野村證券で1つ、大和証券で1つ源泉徴収の特定口座を開設できます。)


4 譲渡課税額の計算

外務員の試験では、譲渡課税の計算がよく出ます。ここでは、動画で用いた例題で説明します。

例)ある会社の株を、平成31年1月に単価2,000円400株、平成
31年2月に単価2,200円600株購入し、平成31年3月に単価2,620円1,000株売却した。税額はいくらか(1円未満を切り捨て)。

このような問題が出題されます。数字がたくさんあって大変ですが、少しずつ計算を進めましょう。

まず、1株当たり取得額を計算します。これは、購入代金の総額を購入株数で割って求めます。


この例題では、1月と2月に株を買っています。それぞれの月の単価×購入株数を計算して購入代金の総額を計算します。数値を代入すると


分子の第1項は1月に2,000円で400株購入したこと、第2項は2月に2,200円で600株購入したことを表します。分母の400+600は購入した株数の合計です。計算すると、1株当たり取得額は2,120円になります。

キャピタルゲインは売却額と取得額の差額です。売却時の株価は2,620円、売買株数は1,000株ですから

(2,620ー2,120)×1,000=50万円

キャピタルゲインは50万円です。これに20.315%の税率が適用されます。すなわち

50万円×20.315%=101,575円

50万円というまとまった額の儲けがあると、10万円を超える税金を納めなければなりません。かなりシビアですね…


5 上場株式の相続税の評価

たくさんの株を保有している親を持つ人もいるかと思います。その人は相続が発生したとき税を納めなければなりません。相続税の税額を計算するとき用いる株の評価額は次のように特定します。

課税時期(相続日)の株価と、課税時期の属する月以前3か月の終値平均を比べ、最低の株価を評価額とします。言葉が難しので、例題で考えましょう。

例)平成31年1月の終値平均が1,250円、平成31年2月の終値平均
1,050円、平成31年3月の終値平均が1,400円、課税時期の3月5日
の終値が1,200円であるとき、この上場株式の評価額はいくらか。

相続が発生した日が3月5日で、その日の株価が終値で1,200円でした。この株価水準と1月、2月、相続が発生した3月の終値平均を比べます。最も低いのは2月の終値平均(1,050円)です。これが評価額となります。

証券投資を実際にやってみると、思っていたより難しく楽ではないことがわかります。その成果に税が課されるのは気詰まりですが、納税の義務は果たさなければなりません。税額がどれくらいになるのか、外務員の試験範囲くらいの知識は持つべきなのでしょう。

上でも書きましたが、私は税理士ではありません。最新の税制や実際の税額などについては、税務署や税理士にお問い合わせください。

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このブログでは、各科目の幹となる用語や計算問題を紹介します。細かい用語や最新の法令・規則については、テキストや問題集で確認をお願いします。