今日は「付随業務」の分野を取り上げます。
試験のキーワードになりそうな用語を赤色で示します。その他の色は、理解を助けるためにつけます。
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上の動画のポイントをまとめます。
1 付随業務
金融商品取引法35条は、金融商品取引業の本業のほかに、「金融商品取引業に付随する業務を行うことができる」と定めています。これを付随業務といいます。法律は15種類の付随業務を指定しています。主なものを列挙すると次のようになります。・有価証券の貸借またはその媒介もしくは代理
・信用取引に付随する金銭の貸付け
・顧客から保護預りをしている有価証券を担保とする金銭の貸付け
・累積投資契約の締結
15業務のすべてを取り扱うことはできませんので、ここではキャッシング業務と累積投資契約について説明します。(下のリンク先資料に付随業務一覧があります。)https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/siryou/kinyu/dai1/f-20041224_sir/02_03.pdf
2 キャッシング業務
キャッシング業務は、上で挙げた主な付随業務のうち、「顧客から保護預りをしている有価証券を担保とする金銭の貸付け」にあたります。投資信託の分野で短期の公社債で運用するMRFを紹介しました。キャッシング業務は、このMRFの解約に関係します。MRFを解約する投資者には、解約の当日に現金化したいというニーズがあります。しかし、公社債は即日現金化することはできません。細かい手続きがありますので、解約の申し出があった日の翌営業日にしか現金化できません。
この1営業日のずれを埋めるために、証券会社が解約請求者に貸付けることをキャッシングといいます。証券会社は、解約請求日にMRFが投資している公社債を担保に投資者に貸付けます。翌営業日に、公社債を売って現金化したお金で返済を受けます。キャッシングは返還可能金額と500万円の少ない方を上限に行うことができます。
3 累積投資契約
累積投資契約とは、あらかじめ選んだ証券を定期的・継続的に買い続ける契約です。「るいとう」の名前で親しまれています。たとえば、下の図表のように、投資できる銘柄としてカゴメが指定されているとしましょう。カゴメに投資したい投資家は、毎月一定額の資金を証券会社に出します。証券会社はそれをひとつにまとめて、カゴメの株を毎月コンスタントに買い続けます。
月々1万円から始められますので、大きな資金を持たない個人投資家が、株式投資の第1歩として利用してきました。
るいとうの特徴の1つに、ドル・コスト平均法が実践できるという点があります。毎月一定額を投資しますので、株が安くなったとき多く、株が高くなったときに少なく買うことになります。
たとえば、1万円ずつ投資するとき、株価が1,000円であれば10株、800円であれば12.5株買えます。安いときに2.5株多く買えます。長い期間でならしてみると、平均買付価格が下がるのでよいとされています。(厳密には検証が必要ですが、資格試験ではこの理解で構いません。)
るいとうのもう1つの特徴に、インサイダー取引規制の適用除外となる点があります。インサイダー情報を知り得る立場の人も、内部情報を知る前に締結された契約にもとづく定期的な買付けであれば、規制の対象外となります。
ただし、1銘柄の投資金額が1か月あたり100万円に満たないことが条件です。いくら、事前に契約していても、500万円、1,000万円も買いつければ「さすがにあやしい」ということになります。それで、投資金額に上限を設けています。
付随業務の分野の配点は、外務員二種、一種ともに低いです。投資信託の業務に関連するキャッシングとるいとうを理解するだけで良いかもしれません。メリハリをつけて対策しましょう。
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このブログでは、各科目の幹となる用語や計算問題を紹介します。細かい用語や最新の法令・規則については、テキストや問題集で確認をお願いします。