今日は「経済・金融・財政の常識」の分野から、金融と財政を紹介します。
試験のキーワードになりそうな用語を赤色で示します。その他の色は、理解を助けるためにつけます。
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上の動画のポイントをまとめます。
1 金融機関
このブログでは、これまでに証券会社、銀行、信託銀行などの金融機関を紹介してきました。これらの他に試験によく出るのは日本銀行と短資会社です。日本銀行は日本国の中央銀行です。この銀行は、銀行の銀行、政府の銀行、発券銀行といわれます。
私たちが銀行に預金をするように、みずほ銀行や三井住友銀行など、民間の銀行も日本銀行に預金をしています。それで、日本銀行のことを銀行の銀行といいます。日本政府も日本銀行に預金をしています。それで、日本銀行のことを政府の銀行ともいいます。さらに、日本銀行はお札を発行しています。千円札や一万円札をよくみると、「日本銀行券」と書いてあります。銀行券(お札)を発行する銀行として、日本銀行のことを発券銀行ともいいます。
短資会社は、インターバンク市場の取引を仲介する役割を担っています。
インターバンク市場とは、金融機関どうしでお金の貸し借りをする場のことで、コール市場と手形市場に大別されます。コール市場では、短期的な余裕資金を運用したい信託銀行が出し手(貸し手)、決済用資金を調達したい都市銀行が取り手(借り手)として存在感を持っています。
2 金融政策
日本銀行が金融市場に働きかけることを金融政策といいます。外務員試験では、金融政策の手段として、公開市場操作と預金準備率操作が取り上げられます。公開市場操作とは、金融機関と国債などを売り買いすることでお金(日銀当座預金)の量を増減させ、コール市場の金利を誘導することです。
金融機関が持つ国債を日本銀行が買う操作を買いオペレーションといいます。金融機関は国債の売却代金としてお金を受け取ります。金融機関が持つお金の量が増えますので、希少価値は薄まり、お金の値段ともいえる金利が下がります。
金融機関が持つ国債を日本銀行が売る操作を売りオペレーションといいます。金融機関は国債の購入代金として日本銀行にお金を払います。金融機関が持つお金の量が減りますので、希少価値は高まり、お金の値段ともいえる金利が上がります。
買いオペレーション:日本銀行が買う → 金利が下がる
売りオペレーション:日本銀行が売る → 金利が上がる
預金準備率操作とは、預金に対する日銀当座預金の比率を変えて、コール市場の金利を誘導することです。
日本銀行が準備率を引き下げると、金融機関はより少ない日銀当座預金を保有しておけばよくなります。日銀当座預金が人為的に品余りになりますので、お金の値段ともいえる金利は下がります。
日本銀行が準備率を引き上げると、金融機関はより多くの日銀当座預金を保有しなければならなくなります。日銀当座預金が人為的に品不足になりますので、お金の値段ともいえる金利は上がります。
準備率の引き下げ:日銀当座預金が品余り → 金利が下がる
準備率の引き上げ:日銀当座預金が品不足 → 金利が上がる
どちらの手段も、金利を誘導することを狙いにしています。
3 金融政策の目標
日本銀行は、物価の安定を目標に金利を誘導します。なぜかというと、物価が安定しているとき、日本銀行が発行するお金の価値が安定していると考えられるからです。物の値段が総じて上がり続けることをインフレーション、下がり続けることをデフレーションといいます。インフレのとき、物に対するお金の価値は下がります。デフレのとき、物に対するお金の価値は上がります。
インフレーション:お金の価値は下がる
デフレーション:お金の価値は上がる
お金(通貨)には、価値尺度、交換手段、価値の貯蔵手段としての役割があるといわれています。お金の価値が安定していなければ、物の価値を測りにくくなってしまいます。買い物に行くとき、いくら持っていけばよいのか分かりにくくなってしまいます。たくさん貯めていたと思っていた貯金の価値が大きく目減りしてしまいます。
お金をみんなに安心してつかってもらえるように、お金の価値を安定させることが日本銀行の目的です(日本銀行法2条)。
4 物価統計
日本銀行は、消費者物価指数をみて物価情勢を確認しています。これは私たち(家計)が購入する財貨・サービスの小売価格を指数にしたものです。指数とは、「前と比べて高くなったか安くなったか」を指し示す数です。プラスなら高くなった、マイナスなら安くなったと解釈します。他に、企業物価指数というものもあります。これは企業が購入する財貨の価格を指数にしたものです。国内企業物価指数、輸出物価指数、輸入物価指数があります。
5 財政
ここまでで2,000字を超えてしまいました。最後に財政について、試験によく出る点に絞って、簡単に触れます。まず、国の予算の基礎的財政収支対象経費で最大のものは社会保障関係費です。用語がとても長いので、「経費で最大は社会保障(年金、医療、介護)」と覚えておきましょう。
国の予算は先議権を持つ衆議院から審議します。衆議院で可決後、参議院に送られます。参議院が受け取ってから30日以内に議決しないときには自然成立となります。これは、国民生活に大きな影響がある予算の執行が滞らないようにするための措置です。
さいごに、国民負担率を紹介します。これは、国民所得に対する租税と社会保障の負担の比率です。高齢化が進み、社会保障の負担が重くなってきていますので、この比率も高くなってきています。
国民負担率については、こちらのリンク先から財務省の資料をみてください。
https://www.mof.go.jp/budget/topics/futanritsu/20190228.html
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このブログでは、各科目の幹となる用語や計算問題を紹介します。細かい用語や最新の法令・規則については、テキストや問題集で確認をお願いします。