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協会定款と諸規則の概要(協会定款・諸規則:その1)


今日は「協会定款・諸規則」の分野から、その概要を紹介します。

試験のキーワードになりそうな用語を赤色で示します。その他の色は、理解を助けるためにつけます。

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この単元のYouTube動画を作りました。ご覧ください。(若干の生活音や息継ぎ音が入ることがあります。音量を調節してみてください。)

(よろしければ、こちらからチャンネル登録お願いします)

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上の動画のポイントをまとめます。


1 概要

証券会社の業界団体に日本証券業協会というものがあります。この協会は、金融商品取引法67条の2にもとづき、内閣総理大臣の認可を得て設立された法人です。

協会は、株式会社と同じように、定款を定めています。定款の6条には、「金融商品取引業の健全な発展を図り、もって投資者の保護に資する」と協会の目的が定められています。これは、金融商品取引法67条の

有価証券の売買その他の取引及びデリバティブ取引等を公正かつ円滑にし、並びに金融商品取引業の健全な発展及び投資者の保護に資することを目的とする

という条文を受けたものと思います。協会は、定款の他にもたくさんの規則を定めています。それらの諸規則は、下のリンク先に示されるように、自主規制、統一慣習、紛争処理にグループ分けされています。
http://www.jsda.or.jp/about/kisoku/index.html


2 顧客との接し方

金融商品取引法にも、協会定款にも定められているように、証券会社は投資者本位の事業活動に努めなければなりません。具体的には、次のような事柄に気をつけて顧客の投資者と接しなければなりません。

まず、顧客に投資は自己責任であることを理解してもらうことが重要です。顧客自身の資金を自らの責任で運用するのが証券投資です。証券会社はアドバイスをしますが、投資判断は顧客自身がしなければなりません。

これは、「証券会社は何もしなくても良い」ということではありません。証券会社は顧客の投資経験投資目的資力をみて、アドバイスをする必要があります。さらに、顧客の適切な判断を助けるべく、十分に説明しなければなりません。


3 取引開始前

ここからは、顧客の投資者が投資する前、投資するとき、投資した後に証券会社が何をすべきかを説明します。

取引開始前に、顧客カードを作成します。これは、適切な投資勧誘をするための基礎資料です。このカードには氏名投資経験投資目的資産・年収などを記します。証券会社に口座を持っている人は、口座開設の申し込みをするとき、これらの情報を書いたと思います。それを証券会社側でカード化しています。

これらの情報は、上に書いた「顧客の投資経験投資目的資力をみて、アドバイスをする」ために用います。

(試験では、「顧客カードに住所のほか本籍も書く」というフレーズが出ることがあります。○×問題では、×が正答となります。住所は書きますが、本籍は書きません。)

また、インサイダー取引規制の対象になる顧客については、内部者登録カードも作成します。このカードには、氏名、会社名、役職名、所属部署などを記します。どの会社のどの部署で働いているのかが分かれば、事前にどのような情報が得られるのかが分かります。

社会的地位が高い人には多くの情報が入ってきます。このカードによって、そうした人もインサイダー取引ではない、健全な取引をしていることを証明することができます。


4 取引時

顧客の投資者は、証券会社を介して証券を売買します。自ら証券取引書に足を運んで証券を売買することはできません。

よって、顧客は証券を買う前に購入代金の一部または全部を証券会社に預けておかなければなりません。また、証券を売る前に売却する証券の一部または全部を証券会社に預けておかなければなりません。証券会社は、資金や証券を預かっていない顧客の注文を取り次ぐことはできません。

顧客から預かった資金や証券を保管する方法には、混蔵寄託契約など
いくつかあります。昔は紙ベースの証券がありましたので、預かり方にも意味があったと思いますが、今は資金も証券も電子化されていますので、以前より意味が薄れてきています。ただし、試験問題には出てきますので一応抑えておきましょう。

また、当たり前のことですが、証券会社など協会員は顧客に名義貸しをしてはいけません。


5 取引後

顧客が証券を売買した後、照合通知書というものを作成します。この書類には、証券(株式、社債、国債、投資信託)の残高、資金の残高をすりします。残高が0であっても、残高が0になってから1年に満たなければ「残高0」を通知します。

照合通知書は、証券会社の検査、監査又は管理を担当する部門が作成します。この書類作成部門は試験で問われるようですので覚えておきましょう。

作成した照合通知書は、顧客の区分にしたがって、それぞれに定める頻度で通知します。証券会社に口座を持っている人は定期的に受け取っていると思います。これは、協会の規則にしたがって行う証券会社の業務の1つです。

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このブログでは、各科目の幹となる用語や計算問題を紹介します。細かい用語や最新の法令・規則については、テキストや問題集で確認をお願いします。