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会社の機関(会社法:その2)


今日は「株式会社法概論」の分野から、会社の機関を紹介します。

試験のキーワードになりそうな用語を赤色で示します。その他の色は、理解を助けるためにつけます。

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この単元のYouTube動画を作りました。ご覧ください。(若干の生活音や息継ぎ音が入ることがあります。音量を調節してみてください。)

(よろしければ、こちらからチャンネル登録お願いします)

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上の動画のポイントをまとめます。


1 株主総会

株式会社の意思決定をする人や人の集まりを機関といいます。機関のうち、最も重要なものが株主総会です。株主総会では、会社に出資している株主が会社の重要事項を決議します。

株主総会は大変重要な集まりですので、議事録を保管することになっています。本店原本を10年支店写しを5年保管します。

株主総会の決議には、普通決議、特別決議、特殊決議があります。このうち普通決議は、議決権の過半数を持つ株主が出席し、出席した株主の議決権の過半数の賛成で成立します。取締役監査役などを選任するとき、剰余金の配当額を決めるとき、計算書類の承認を得るときなどにこの決議が用いられます。

特別決議は、議決権の過半数を持つ株主が出席し、出席した株主の議決権の3分の2以上の賛成で成立します。定款を変更するとき、会社を解散するとき、会社を合併するときなどにこの決議が用いられます。

細かい用語がたくさんありますが、外務員試験では、大まかに

に関すること  → 普通決議
組織に関すること → 特別決議

と覚えておきましょう。


2 組織再編

特別決議が必要となる組織再編のうち、外務員試験によく出るのは合併と分割です。

合併とは、複数の会社が1つの会社になることです。元の会社をすべて解散し、新たに会社を設立するとき、新設合併といいます。元の会社のうち1社を存続させ、そこに他の会社を吸収させるとき、吸収合併といいます。

分割とは、会社の一部を切り離して別の会社にすることです。切り離した会社の一部を新たな会社としてスタートさせるとき、新設分割といいます。切り離した会社の一部を今ある会社が吸収するとき、吸収分割といいます。

会社の合併、分割における新設、吸収とは

新設 → 組織再編のとき新たな会社を作る
吸収 → 組織再編のとき今ある会社を活用する

とまとめると覚えやすいと思います。


3 役会、委員会

会社法は柔軟な機関設計を認めています。会社を運営する人たちにとっては便利ですが、資格試験を受ける私たちにはとても複雑になってしまっています。ここでは、外務員試験によく出るものだけ紹介します。

役会、委員会のメンバーは株主総会で選ばれます。総会で選ばれた取締役3人以上で構成されるのが取締役会です。取締役会は、代表取締役1名を選出します。

テレビドラマで、会議室に重役が集まって話し合う場面がありますが、大企業の取締役会はメンバーは10人を超えることもあります。私たちが「社長」と呼ぶ人の多くは、代表取締役です。

総会で選ばれた3人以上の監査役で構成されるのが監査役会です。監査役会メンバーのうち半数以上は社外の人でなくてはいけません。これは、監査役会が、「取締役会が本当に株主のために行動しているか」を監視する会であるためです。監査役の多数が社内の人であれば、株主ではなく取締役のいいなりになってしまうかもしれません。

取締役会の監視機能を強化し、また経営と執行を分離した機関設計に指名委員会等設置会社というものがあります。これは、取締役の選任案を出す指名委員会、取締役の報酬案を出す報酬委員会、業務の執行をみる監査委員会を設置する会社です。これらの委員会はいずれも3人以上
の委員によって構成され、その過半数は社外の人です。

この記事を書いている時点で、指名委員会等設置会社は71社あります。詳しくは下のリンク先からリストをみてください。
https://www.jacd.jp/news/gov/jacd_iinkaisecchi.pdf
http://diamond.jp/articles/-/73353?page=2


4 証券の発行

株主の多くは、私たちのように他の仕事を持っていますので、会社の経営を細かくみることはできません。それで、会社経営の大部分は、総会で選んだメンバーで構成される取締役会で決めます。

取締役会は、証券の発行、株主総会の招集、代表取締役の選任、株式の分割などを決議することができます。これらのうち、証券の発行について説明します。

取締役会は、株式の発行を決議することができます。株式の発行のしかたに株主割当て、公募、第三者割当てがあります。また、社債の発行も決議することができます。社債を発行するとき、元利払いを管理する社債管理者を置くのが原則です。銀行信託銀行などが社債管理者になれます。転換社債型新株予約権付社債の発行も決議することができます。

これらの決定が取締役会に委ねられているのは、状況に応じて資金を調達できるようにするためです。資金調達のたびに株主総会を開いていては、時間と手間がかかってしまいます。

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このブログでは、各科目の幹となる用語や計算問題を紹介します。細かい用語や最新の法令・規則については、テキストや問題集で確認をお願いします。