disable copy

協会定款と諸規則の概要(協会定款・諸規則:その1)


今日は「協会定款・諸規則」の分野から、その概要を紹介します。

試験のキーワードになりそうな用語を赤色で示します。その他の色は、理解を助けるためにつけます。

* * *

この単元のYouTube動画を作りました。ご覧ください。(若干の生活音や息継ぎ音が入ることがあります。音量を調節してみてください。)

(よろしければ、こちらからチャンネル登録お願いします)

* * *

上の動画のポイントをまとめます。


1 概要

証券会社の業界団体に日本証券業協会というものがあります。この協会は、金融商品取引法67条の2にもとづき、内閣総理大臣の認可を得て設立された法人です。

協会は、株式会社と同じように、定款を定めています。定款の6条には、「金融商品取引業の健全な発展を図り、もって投資者の保護に資する」と協会の目的が定められています。これは、金融商品取引法67条の

有価証券の売買その他の取引及びデリバティブ取引等を公正かつ円滑にし、並びに金融商品取引業の健全な発展及び投資者の保護に資することを目的とする

という条文を受けたものと思います。協会は、定款の他にもたくさんの規則を定めています。それらの諸規則は、下のリンク先に示されるように、自主規制、統一慣習、紛争処理にグループ分けされています。
http://www.jsda.or.jp/about/kisoku/index.html


2 顧客との接し方

金融商品取引法にも、協会定款にも定められているように、証券会社は投資者本位の事業活動に努めなければなりません。具体的には、次のような事柄に気をつけて顧客の投資者と接しなければなりません。

まず、顧客に投資は自己責任であることを理解してもらうことが重要です。顧客自身の資金を自らの責任で運用するのが証券投資です。証券会社はアドバイスをしますが、投資判断は顧客自身がしなければなりません。

これは、「証券会社は何もしなくても良い」ということではありません。証券会社は顧客の投資経験投資目的資力をみて、アドバイスをする必要があります。さらに、顧客の適切な判断を助けるべく、十分に説明しなければなりません。


3 取引開始前

ここからは、顧客の投資者が投資する前、投資するとき、投資した後に証券会社が何をすべきかを説明します。

取引開始前に、顧客カードを作成します。これは、適切な投資勧誘をするための基礎資料です。このカードには氏名投資経験投資目的資産・年収などを記します。証券会社に口座を持っている人は、口座開設の申し込みをするとき、これらの情報を書いたと思います。それを証券会社側でカード化しています。

これらの情報は、上に書いた「顧客の投資経験投資目的資力をみて、アドバイスをする」ために用います。

(試験では、「顧客カードに住所のほか本籍も書く」というフレーズが出ることがあります。○×問題では、×が正答となります。住所は書きますが、本籍は書きません。)

また、インサイダー取引規制の対象になる顧客については、内部者登録カードも作成します。このカードには、氏名、会社名、役職名、所属部署などを記します。どの会社のどの部署で働いているのかが分かれば、事前にどのような情報が得られるのかが分かります。

社会的地位が高い人には多くの情報が入ってきます。このカードによって、そうした人もインサイダー取引ではない、健全な取引をしていることを証明することができます。


4 取引時

顧客の投資者は、証券会社を介して証券を売買します。自ら証券取引書に足を運んで証券を売買することはできません。

よって、顧客は証券を買う前に購入代金の一部または全部を証券会社に預けておかなければなりません。また、証券を売る前に売却する証券の一部または全部を証券会社に預けておかなければなりません。証券会社は、資金や証券を預かっていない顧客の注文を取り次ぐことはできません。

顧客から預かった資金や証券を保管する方法には、混蔵寄託契約など
いくつかあります。昔は紙ベースの証券がありましたので、預かり方にも意味があったと思いますが、今は資金も証券も電子化されていますので、以前より意味が薄れてきています。ただし、試験問題には出てきますので一応抑えておきましょう。

また、当たり前のことですが、証券会社など協会員は顧客に名義貸しをしてはいけません。


5 取引後

顧客が証券を売買した後、照合通知書というものを作成します。この書類には、証券(株式、社債、国債、投資信託)の残高、資金の残高をすりします。残高が0であっても、残高が0になってから1年に満たなければ「残高0」を通知します。

照合通知書は、証券会社の検査、監査又は管理を担当する部門が作成します。この書類作成部門は試験で問われるようですので覚えておきましょう。

作成した照合通知書は、顧客の区分にしたがって、それぞれに定める頻度で通知します。証券会社に口座を持っている人は定期的に受け取っていると思います。これは、協会の規則にしたがって行う証券会社の業務の1つです。

* * *

このブログでは、各科目の幹となる用語や計算問題を紹介します。細かい用語や最新の法令・規則については、テキストや問題集で確認をお願いします。

義務、禁止事項等(金融商品取引法:その2)


今日は「金融商品取引法」の分野から、義務と禁止事を紹介します。

試験のキーワードになりそうな用語を赤色で示します。その他の色は、理解を助けるためにつけます。

* * *

この単元のYouTube動画を作りました。ご覧ください。(若干の生活音や息継ぎ音が入ることがあります。音量を調節してみてください。)

(よろしければ、こちらからチャンネル登録お願いします)

* * *

上の動画のポイントをまとめます。


1 義務

金融商品取引業者とそこで登録された外務員には、最良執行義務があります。これは、複数の市場で証券が取引されているとき、投資者にとって最も有利な市場で取引をしなければならないということです。

証券会社のホームページをみると、最良執行方針が掲げられています。下のリンク先から、大和証券の最良執行方針をみてください。最も取引が盛んな、流動性の高い市場に注文を取り次ぐと書いてあります。
http://www.daiwa.jp/policy/execution/

金融商品取引業者は、あらかじめ最良執行方針等を記した書面を顧客の投資者に交付しなければなりません。

金融商品取引業者とそこで登録された外務員は、顧客投資者の損失を補てんしてはいけません。顧客が業者に損失補てんを要求しただけでは処罰されませんが、業者や外務員が顧客に損失補てんを約束したり、実際に補てんを実行してしまうと罰せられます。損失補てんは第三者を介したものでも罰せられます。


2 不公正取引規制

金融商品取引業者とそこで登録された外務員は不公正な取引をしてはいけません。不公正な取引には風説の流布、仮装売買、馴合売買などがあります。

風説の流布とは、会社の業績や株価などについて、根拠のない噂を広めることです。たとえば「まだ報じられていないが、この会社は間もなく倒産する。今のうち株を売りましょう」とネットのSNSなどで煽り投稿をしておいて、売りが殺到し株価が暴落したタイミングで買い占めることは罰せられます。10年以下の懲役になりかねませんので絶対にやらないようにしましょう。

仮装売買とは、権利の移転や金銭の授受を目的としない取引のことです。たとえば、投資者が自らの買い注文と売り注文をぶつけて取引を成立させる「にぎやかし」をすることで、他の投資家をおびき寄せて利益を得ることは罰せられます。

馴合売買とは、売り手と買い手が通謀した取引のことです。「この株を、いつ、いくらで売買しよう」と示し合わせて売買し、値を吊り上げたりすることは罰せられます。

現在は、取引の全てが電子情報として記録されますので、こうした不公正取引はすぐに特定されます。くれぐれも関わらないようにしましょう。下のリンク先の資料を参照してください。2つめの資料にあるストリームという会社の株の値動きについては、3つめの資料(チャート)をみてください。2014年に急騰しています。
https://www.fsa.go.jp/sesc/support/hukousei/hukousei.htm
https://www.fsa.go.jp/sesc/message/20171228-1.htm
https://stocks.finance.yahoo.co.jp/stocks/chart/?code=3071.T&ct=z&t=ay&q=c&l=off&z=m&p=m65,m130,s&a=v


3 内部者取引規制

内部者取引規制は、いわゆるインサイダー取引規制です。インサイダー取引とは、会社関係者が、重要事実を利用し、公表前に取引することです。

会社関係者とは、会社の役員会計士顧問弁護士使用人(従業員)などのことです。これらの立場にある人は、いわゆる「中の人」として、他の人より早く情報を知ることができます。それを利用して取引すると、他の人より有利になってしまいます。

重要事実とは、新株を発行すること、株式を分割すること、資本金の減少、会社の業績予想などです。どれも株価に大きな影響を与えますので、これらの情報を利用して取引すると、他の人より有利になってしまいます。

公表とは、有価証券報告書や有価証券届出書が公衆の縦覧に供せられたとき(みんながみられるようになったとき)や、2つ以上の報道機関に対して公開し、それから12時間経過したときを意味します。

立場のある人は、なかなか個別株を売買するのは難しいです。それで、ETFを買って保有し続けたり、株式累積投資を活用したりしています。


4 開示規制

証券を発行するとき、証券を流通させるとき、発行体は情報を開示しなければなりません。

株式、社債、投資信託の受益証券を発行するとき、目論見書を公表します。これは、「証券を発行して集めた資金で何をするのか、行う事業によって、どのように投資家に報いるのか」をまとめた書類です。私たち個人投資家は、証券に投資する前に目論見書を読むべきです。

株式を流通させるときも、いくつかの書類を公表しなければなりません。決算を終えて3か月以内に、有価証券報告書を内閣総理大臣に提出します。経営状態が急変したときには、臨時報告書を提出します。試験では、「経営状態が急変したとき訂正報告書を提出する」などと出てきますが、このような文が○×問題で出たら、×が正答となります。

発行済株式総数の5%超を保有する投資者は、保有比率が5%を超えてから5日以内大量保有報告書を提出します。大株主は株主総会で大きな発言力を持ちますので、それが誰なのか分かるようにしておきます。

* * *

このブログでは、各科目の幹となる用語や計算問題を紹介します。細かい用語や最新の法令・規則については、テキストや問題集で確認をお願いします。




業者と外務員(金融商品取引法:その1)


今日は「金融商品取引法」の分野から、業者と外務員を紹介します。

試験のキーワードになりそうな用語を赤色で示します。その他の色は、理解を助けるためにつけます。

* * *

この単元のYouTube動画を作りました。ご覧ください。(若干の生活音や息継ぎ音が入ることがあります。音量を調節してみてください。)

(よろしければ、こちらからチャンネル登録お願いします)

* * *

上の動画のポイントをまとめます。


1 有価証券

金融商品取引法の2条1項は、多くの有価証券を列挙しています。そのうち、外務員試験によく出るのは国債、地方債、株券、社債券、投資信託の受益証券、CP(コマーシャル・ペーパー)などです。

金融商品取引法の2条2項は、みなし有価証券を列挙しています。合名・合資・合同会社の社員権などはみなし有価証券にあたります。

注意していただきたいのは、小切手は金融商品取引法上の有価証券ではないということです。小切手を有価証券とみなす場合もあるようですが、私たちが受験する外務員試験では、有価証券ではないと覚えておきましょう。


2 金融商品取引業

金融商品取引業には、内閣総理大臣の登録を受けて営むものと、内閣総理大臣の認可を得て行うものがあります。登録を受けて営むものに媒介、取次ぎ、代理などがあります。

媒介とは、他人どうしの取引が成立するよう尽力することです。

取次ぎとは、自己の名をもって委託者の計算で売買することです。「委託者の計算で」とは、委託者の資金でという意味です。私たちが証券会社の窓口でお願いした株式の買い注文は、証券会社の名で証券取引所に提出されます。このような業務を媒介といいます。(証券会社が他の業務を営むこともあります。)

代理とは、委託者の名をもって委託者の計算で売買することです。たとえば、私たちに投資のアドバイスだけをする投資顧問会社は、代理業のみを営んでいるといえます。(投資顧問が他の業務を営むこともあります。)

内閣総理大臣の認可を得て行うものに私設取引システム(PTS)があります。黎明期にはいくつかPTSがありましたが、現在はジャパンネクストとチャイエックスの2つに集約されています。2つのPTSについては、下のリンク先をご覧ください。
http://www.japannext.co.jp/ja
https://www.chi-x.co.jp/


3 金融商品仲介業

金融商品仲介業は、内閣総理大臣の登録を受けて営みます。この業は、法人も個人も営むことができます。

法人として金融商品仲介業を営むものに銀行があります。近年は銀行の窓口で投資信託などの金融商品を勧められることがあります。そのような業務は、銀行が金融商品仲介業として営んでいます。

最近はAIを駆使した投資戦略を私たち個人投資家にアドバイスする企業もあります。こうしたアドバイザー業務も金融商品仲介業です。

個人で金融商品仲介業を営む人をIFAといいます。保険の代理店を営む個人が投資信託も販売していることがあります。こうした業務は金融商品仲介業です。

金融商品仲介業を営む法人や個人は、代理をすることはできません。ここで代理とは、顧客のお金や証券を預かる業務です。


4 外務員

金融商品の取引、勧誘をすることを外務行為といいます。外務行為をできる人を外務員といいます。

このブログのご覧になる人の多くは、外務員を取得したい人だと思います。外務行為をするには、外務員試験に合格するだけではいけません。例外なく登録する必要があります。(試験には「ある場合には登録しなくても良い」といったフレーズが出てきます。このような問題では、×が正答です。)

外務員は、金融商品取引業者に代わり、一切の裁判外の行為を行います。一切の裁判外の行為とは、簡単にいうと業務全般のことです。さすがに裁判の法廷では弁護士に頼りますが、その他の業務全般は、外務員が行うということです。

金融商品取引業者は、外務員が負った債務の直接履行責任を持ちます。雇っていたトレーダーが大損したとき、その債務は証券会社が持つということです。

就活の口コミサイトなどで「証券会社は厳しい、ブラックだ」という評判を見聞きします。しかし、会社側から見れば、外務員となる職員は例外なく会社の看板を背負っていますので、自覚をもった行動を促すのは当然だとも言えます。また、外務員である従業員の損もかぶるわけですから、一定以上の品質を求めるのもやむを得ません。高い倫理観がない人、能力が十分でない人にとって、厳しい仕事にみえるのは仕方ないかもしれません。

* * *

このブログでは、各科目の幹となる用語や計算問題を紹介します。細かい用語や最新の法令・規則については、テキストや問題集で確認をお願いします。




会社の機関(会社法:その2)


今日は「株式会社法概論」の分野から、会社の機関を紹介します。

試験のキーワードになりそうな用語を赤色で示します。その他の色は、理解を助けるためにつけます。

* * *

この単元のYouTube動画を作りました。ご覧ください。(若干の生活音や息継ぎ音が入ることがあります。音量を調節してみてください。)

(よろしければ、こちらからチャンネル登録お願いします)

* * *

上の動画のポイントをまとめます。


1 株主総会

株式会社の意思決定をする人や人の集まりを機関といいます。機関のうち、最も重要なものが株主総会です。株主総会では、会社に出資している株主が会社の重要事項を決議します。

株主総会は大変重要な集まりですので、議事録を保管することになっています。本店原本を10年支店写しを5年保管します。

株主総会の決議には、普通決議、特別決議、特殊決議があります。このうち普通決議は、議決権の過半数を持つ株主が出席し、出席した株主の議決権の過半数の賛成で成立します。取締役監査役などを選任するとき、剰余金の配当額を決めるとき、計算書類の承認を得るときなどにこの決議が用いられます。

特別決議は、議決権の過半数を持つ株主が出席し、出席した株主の議決権の3分の2以上の賛成で成立します。定款を変更するとき、会社を解散するとき、会社を合併するときなどにこの決議が用いられます。

細かい用語がたくさんありますが、外務員試験では、大まかに

に関すること  → 普通決議
組織に関すること → 特別決議

と覚えておきましょう。


2 組織再編

特別決議が必要となる組織再編のうち、外務員試験によく出るのは合併と分割です。

合併とは、複数の会社が1つの会社になることです。元の会社をすべて解散し、新たに会社を設立するとき、新設合併といいます。元の会社のうち1社を存続させ、そこに他の会社を吸収させるとき、吸収合併といいます。

分割とは、会社の一部を切り離して別の会社にすることです。切り離した会社の一部を新たな会社としてスタートさせるとき、新設分割といいます。切り離した会社の一部を今ある会社が吸収するとき、吸収分割といいます。

会社の合併、分割における新設、吸収とは

新設 → 組織再編のとき新たな会社を作る
吸収 → 組織再編のとき今ある会社を活用する

とまとめると覚えやすいと思います。


3 役会、委員会

会社法は柔軟な機関設計を認めています。会社を運営する人たちにとっては便利ですが、資格試験を受ける私たちにはとても複雑になってしまっています。ここでは、外務員試験によく出るものだけ紹介します。

役会、委員会のメンバーは株主総会で選ばれます。総会で選ばれた取締役3人以上で構成されるのが取締役会です。取締役会は、代表取締役1名を選出します。

テレビドラマで、会議室に重役が集まって話し合う場面がありますが、大企業の取締役会はメンバーは10人を超えることもあります。私たちが「社長」と呼ぶ人の多くは、代表取締役です。

総会で選ばれた3人以上の監査役で構成されるのが監査役会です。監査役会メンバーのうち半数以上は社外の人でなくてはいけません。これは、監査役会が、「取締役会が本当に株主のために行動しているか」を監視する会であるためです。監査役の多数が社内の人であれば、株主ではなく取締役のいいなりになってしまうかもしれません。

取締役会の監視機能を強化し、また経営と執行を分離した機関設計に指名委員会等設置会社というものがあります。これは、取締役の選任案を出す指名委員会、取締役の報酬案を出す報酬委員会、業務の執行をみる監査委員会を設置する会社です。これらの委員会はいずれも3人以上
の委員によって構成され、その過半数は社外の人です。

この記事を書いている時点で、指名委員会等設置会社は71社あります。詳しくは下のリンク先からリストをみてください。
https://www.jacd.jp/news/gov/jacd_iinkaisecchi.pdf
http://diamond.jp/articles/-/73353?page=2


4 証券の発行

株主の多くは、私たちのように他の仕事を持っていますので、会社の経営を細かくみることはできません。それで、会社経営の大部分は、総会で選んだメンバーで構成される取締役会で決めます。

取締役会は、証券の発行、株主総会の招集、代表取締役の選任、株式の分割などを決議することができます。これらのうち、証券の発行について説明します。

取締役会は、株式の発行を決議することができます。株式の発行のしかたに株主割当て、公募、第三者割当てがあります。また、社債の発行も決議することができます。社債を発行するとき、元利払いを管理する社債管理者を置くのが原則です。銀行信託銀行などが社債管理者になれます。転換社債型新株予約権付社債の発行も決議することができます。

これらの決定が取締役会に委ねられているのは、状況に応じて資金を調達できるようにするためです。資金調達のたびに株主総会を開いていては、時間と手間がかかってしまいます。

* * *

このブログでは、各科目の幹となる用語や計算問題を紹介します。細かい用語や最新の法令・規則については、テキストや問題集で確認をお願いします。




会社の種類、設立(会社法:その1)


今日は「株式会社法概論」の分野から、会社の種類と設立のしかたを紹介します。

試験のキーワードになりそうな用語を赤色で示します。その他の色は、理解を助けるためにつけます。

* * *

この単元のYouTube動画を作りました。ご覧ください。(若干の生活音や息継ぎ音が入ることがあります。音量を調節してみてください。)

(よろしければ、こちらからチャンネル登録お願いします)

* * *

上の動画のポイントをまとめます。


1 会社の種類

会社法という法律は、会社を株式会社と持分会社に分類しています。持分会社には、合名会社、合資会社、合同会社があります。ここでは、出資者の責任の重さに注目して、これらの会社の違いを説明します。

合名会社は出資者全員無限責任を負う会社です。無限責任とは、会社が経営危機に陥って、会社の財産で債務を返済できなくなったとき、自らの財産で債務を返済するという大変重い責任のことです。

合資会社は出資者が無限責任社員と有限責任社員からなる会社です。有限責任とは、責任の限度が出資額であるということです。たとえば、100万円を出資した人は、100万円を超える責任は負いません。無限責任よりずっと楽な立場です。

合名会社と合資会社には無限責任社員がいます。とてつもなく重い責任を負いますので、無限責任社員になりたがる人はとても少ないです。戦前の財閥中枢にあった三井合名三菱合資は、鉄の結束を誇る一族だからできた会社形態です。現在、合名会社や合資会社の形態をとるのは味噌や醤油の老舗です。老舗の多くは数百年にわたり一族で経営しています。そのような場合に合名、合資の会社形態が選ばれます。

合同会社は出資者全員有限責任を負う会社です。設立と運営が株式会社より簡素ですので、外国企業が日本法人の形態としてよく用います。アマゾンジャパンシスコシステムズは合同会社です。

株式会社も出資者全員有限責任を負う会社です。日本では、会社の大多数が株式会社です。経済産業省の経済センサスによれば、会社の98%が株式会社です。
https://www.stat.go.jp/data/e-census/index.html

中小の株式会社の社長(出資者)は、自宅や土地を銀行に担保として差し出していることが多いので、実際には無限責任に近い立場に置かれています。


2 株式会社の設立

株式会社の設立のしかたには、募集設立と発起設立があります。ここでは、発起設立について説明します。

発起設立とは、設立時に発行する株式を発起人がすべて引き受けて会社をはじめることです。発起人とは、「会社をはじめよう」と言い出した人です。発起人は1人でも構いません。法人(会社など)でも構いません。「よしやろう!」と手を挙げた人🙋‍♂️が資金の全額を用意してはじめます。

資本金の規制はありませんので、1円を出資して会社を設立することもできます。ただ、実際に資本金を1円にしてしまうとで、「この会社は債権者を保護する気がないんだな」と思われ、取引に応じてくれません。少なくとも300万円くらいは用意すべきでしょう。

会社を設立するとき、定款を作成します。定款(ていかん)とは、会社の基本事項を記した会社の憲法のようなものです。具体的には、会社の商号(名前)、会社の本店所在地、発起人の氏名、設立時の出資金額、会社の目的(どんなビジネスをするのか)などを記します。

様々な事情で、会社設立を無効にしたいときは、その会社の取締役または株主が、設立後2年以内に裁判所へ訴えます。


3 株主の権利

有限責任ではあるものの、株式を保有する株主には責任があります。責任を上回る権利がなければ、株主になる人がいなくなってしまいます。株主にはどのような権利があるのでしょうか。

株主の権利には、株主個人のためである自益権と会社全体のためである共益権があります。自益権には、剰余金の配当を受ける権利などがあります。共益権には、株主総会で議案に投票することができる議決権などがあります。

株主総会の決議は多数決を原則としていますが、過半数に満たないものの、ある程度の株数を保有する人(少数株主)にも権利が与えられています。

たとえば、議決権のある株式のうち3%以上を保有する人には、会社の帳簿を閲覧する権利があります。詳しくは下のリンク先資料をご覧ください。
http://www.mofo.jp/topics/legal-updates/legal-updates/79.html


4 大会社と公開会社

会社法の用語に大会社と公開会社があります。

大会社とは、資本金5億円以上または負債額200億円以上の会社です。貸借対照表でみて、規模が一定以上の会社です。これくらいの規模になると直接、間接の取引先がかなりの数に上りますし、債権者も多くなります。それで、会社の会計をみる会計監査人を置きます。また、損益計算書を公告します。

公告は法律用語です。同じ読みの「広告」もありますが、こちらは宣伝するという意味です。公告は、法律にもとづいて、定められた事項を公にすることを意味します。決算公告は、新聞紙上や自社のホームページで行っても構いません。詳しくは下のリンク先の資料をご覧ください。
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji81.html

公開会社とは、譲渡制限がない株式が少しでもある会社です。回りくどい言い方ですが、要は株主総会や取締役会の決議を経ずに、自由に譲ることができる株がある会社です。証券市場に上場している会社はもれなく公開会社です。非上場会社でも、譲渡制限がない株があれば、公開会社です。

* * *

このブログでは、各科目の幹となる用語や計算問題を紹介します。細かい用語や最新の法令・規則については、テキストや問題集で確認をお願いします。




金融と財政(経済・金融・財政の常識:その2)


今日は「経済・金融・財政の常識」の分野から、金融と財政を紹介します。

試験のキーワードになりそうな用語を赤色で示します。その他の色は、理解を助けるためにつけます。

* * *

この単元のYouTube動画を作りました。ご覧ください。(若干の生活音や息継ぎ音が入ることがあります。音量を調節してみてください。)

(よろしければ、こちらからチャンネル登録お願いします)

* * *

上の動画のポイントをまとめます。


1 金融機関

このブログでは、これまでに証券会社、銀行、信託銀行などの金融機関を紹介してきました。これらの他に試験によく出るのは日本銀行と短資会社です。

日本銀行は日本国の中央銀行です。この銀行は、銀行の銀行、政府の銀行、発券銀行といわれます。

私たちが銀行に預金をするように、みずほ銀行や三井住友銀行など、民間の銀行も日本銀行に預金をしています。それで、日本銀行のことを銀行の銀行といいます。日本政府も日本銀行に預金をしています。それで、日本銀行のことを政府の銀行ともいいます。さらに、日本銀行はお札を発行しています。千円札や一万円札をよくみると、「日本銀行券」と書いてあります。銀行券(お札)を発行する銀行として、日本銀行のことを発券銀行ともいいます。

短資会社は、インターバンク市場の取引を仲介する役割を担っています。

インターバンク市場とは、金融機関どうしでお金の貸し借りをする場のことで、コール市場と手形市場に大別されます。コール市場では、短期的な余裕資金を運用したい信託銀行が出し手(貸し手)、決済用資金を調達したい都市銀行が取り手(借り手)として存在感を持っています。


2 金融政策

日本銀行が金融市場に働きかけることを金融政策といいます。外務員試験では、金融政策の手段として、公開市場操作と預金準備率操作が取り上げられます。

公開市場操作とは、金融機関と国債などを売り買いすることでお金(日銀当座預金)の量を増減させ、コール市場の金利を誘導することです。

金融機関が持つ国債を日本銀行が買う操作を買いオペレーションといいます。金融機関は国債の売却代金としてお金を受け取ります。金融機関が持つお金の量が増えますので、希少価値は薄まり、お金の値段ともいえる金利が下がります。

金融機関が持つ国債を日本銀行が売る操作を売りオペレーションといいます。金融機関は国債の購入代金として日本銀行にお金を払います。金融機関が持つお金の量が減りますので、希少価値は高まり、お金の値段ともいえる金利が上がります。

買いオペレーション:日本銀行が買う → 金利が下がる
売りオペレーション:日本銀行が売る → 金利が上がる

預金準備率操作とは、預金に対する日銀当座預金の比率を変えて、コール市場の金利を誘導することです。

日本銀行が準備率を引き下げると、金融機関はより少ない日銀当座預金を保有しておけばよくなります。日銀当座預金が人為的に品余りになりますので、お金の値段ともいえる金利は下がります。

日本銀行が準備率を引き上げると、金融機関はより多くの日銀当座預金を保有しなければならなくなります。日銀当座預金が人為的に品不足になりますので、お金の値段ともいえる金利は上がります。

準備率の引き下げ:日銀当座預金が品余り → 金利が下がる
準備率の引き上げ:日銀当座預金が品不足 → 金利が上がる

どちらの手段も、金利を誘導することを狙いにしています。


3 金融政策の目標

日本銀行は、物価の安定を目標に金利を誘導します。なぜかというと、物価が安定しているとき、日本銀行が発行するお金の価値が安定していると考えられるからです。

物の値段が総じて上がり続けることをインフレーション、下がり続けることをデフレーションといいます。インフレのとき、物に対するお金の価値は下がります。デフレのとき、物に対するお金の価値は上がります。

インフレーション:お金の価値は下がる
デフレーション:お金の価値は上がる

お金(通貨)には、価値尺度交換手段価値の貯蔵手段としての役割があるといわれています。お金の価値が安定していなければ、物の価値を測りにくくなってしまいます。買い物に行くとき、いくら持っていけばよいのか分かりにくくなってしまいます。たくさん貯めていたと思っていた貯金の価値が大きく目減りしてしまいます。

お金をみんなに安心してつかってもらえるように、お金の価値を安定させることが日本銀行の目的です(日本銀行法2条)。


4 物価統計

日本銀行は、消費者物価指数をみて物価情勢を確認しています。これは私たち(家計)が購入する財貨・サービスの小売価格を指数にしたものです。指数とは、「前と比べて高くなったか安くなったか」を指し示す数です。プラスなら高くなった、マイナスなら安くなったと解釈します。

他に、企業物価指数というものもあります。これは企業が購入する財貨の価格を指数にしたものです。国内企業物価指数、輸出物価指数、輸入物価指数があります。


5 財政

ここまでで2,000字を超えてしまいました。最後に財政について、試験によく出る点に絞って、簡単に触れます。

まず、国の予算の基礎的財政収支対象経費で最大のものは社会保障関係費です。用語がとても長いので、「経費で最大は社会保障(年金、医療、介護)」と覚えておきましょう。

国の予算は先議権を持つ衆議院から審議します。衆議院で可決後、参議院に送られます。参議院が受け取ってから30日以内に議決しないときには自然成立となります。これは、国民生活に大きな影響がある予算の執行が滞らないようにするための措置です。

さいごに、国民負担率を紹介します。これは、国民所得に対する租税と社会保障の負担の比率です。高齢化が進み、社会保障の負担が重くなってきていますので、この比率も高くなってきています。


国民負担率については、こちらのリンク先から財務省の資料をみてください。
https://www.mof.go.jp/budget/topics/futanritsu/20190228.html

* * *

このブログでは、各科目の幹となる用語や計算問題を紹介します。細かい用語や最新の法令・規則については、テキストや問題集で確認をお願いします。



経済統計(経済・金融・財政の常識:その1)


今日は「経済・金融・財政の常識」の分野から、経済統計を紹介します。

試験のキーワードになりそうな用語を赤色で示します。その他の色は、理解を助けるためにつけます。

* * *

この単元のYouTube動画を作りました。ご覧ください。(若干の生活音や息継ぎ音が入ることがあります。音量を調節してみてください。)

(よろしければ、こちらからチャンネル登録お願いします)

* * *

上の動画のポイントをまとめます。


1 国内総生産

経済統計で最も重要なのは国内総生産(GDP)です。GDPは生産、分配、支出の3側面から測ります。測り方が3とおりあっても、測るものはGDPで変わりませんので、値は同じになります。これを三面等価の原則といいます。

試験によく出るのは分配側GDPの内訳です。内訳は次式のとおりです。

GDP=雇用者報酬+営業余剰+固定資本減耗+(間接税ー補助金)

雇用者報酬とは私たちの給与の総額です。営業余剰とは企業のもうけの総額です。固定資本減耗とは設備の劣化などに伴う評価額の減少分です。間接税と補助金の差は調整項目です。この式は長いのですが、残念ながら覚えるしかありません…


2 家計貯蓄

GDPに関係する経済用語に家計貯蓄というものがあります。家計貯蓄は次の式によって定義されます。

家計貯蓄=可処分所得ー消費支出

可処分所得とは、所得から社会保険料を差し引きした後に残る、消費に回せる金額のことです。そこから消費に使った金額を引いたものが家計貯蓄となります。

家計簿をつけている人は、収入から買い物などに使ったお金の残りを貯金するイメージがつかめると思います。それを国単位で捉えたものと考えておきましょう。(資格試験では、この理解で大丈夫です。)

可処分所得に対する家計貯蓄の比率を貯蓄率といい、可処分所得に対する消費支出の比率を消費性向といいます。



3 景気統計

外務員試験によく出る景気指標は、日銀短観と景気動向指数です。

日銀短観とは、日本銀行が3か月おきに実施する企業向けのアンケート調査です。

景気動向指数とは、複数の経済統計を総合して毎月作成する、景気を測る指標です。指数には、先行・一致・遅行の3種類があります。それぞれの指数の基礎資料を例示すると次のようになります。

先行指数(景気に先行して動く):新設住宅着工、東証株価指数
一致指数(景気に連動して動く):有効求人倍率
遅行指数(景気に遅れて動く) :完全失業率

指数にはCIとDIがあります。CI景気変動のテンポ(量感)まで捉えるのに対して、DI50%を基準に景気の方向感だけを捉えます。


4 雇用統計

経済の動きで、注目が集まるのは雇用情勢です。外務員試験によく出るのは、景気動向指数の基礎資料にもなる、有効求人倍率と完全失業率です。

有効求人倍率は次の式から算出します。


分子の有効求人数は、その月にハローワークに出された求人の数です。分母の有効求職者数は、その月にハローワークで職探しをした人の数です。求人が多いほど職探しはしやすくなりますので、この倍率は高い方が良いです

有効求人倍率が1より高いとき、いわゆる「売り手市場」になり、企業は求人を見つけにくくなります。反対に、倍率が1より低いとき、今度は「買い手市場」になり、求職者は仕事を見つけにくくなります。

完全失業率は次の式から算出します。


分子の完全失業者は、職探しをしていてまだ職を見つけられていない人の数です。分母の労働力人口は、働く意思がある人の数です。当然、仕事が見つからない人が少ない、つまり完全失業率は低い方が良いです。

有効求人倍率と失業率は逆向きに動くことに注意しましょう。好景気のとき有効求人倍率は高く、失業率は低くなります。不景気のとき有効求人倍率は低く、失業率は高くなります。

好景気 → 有効求人倍率、完全失業率
不景気 → 有効求人倍率、完全失業率

今日紹介した経済統計は、ニュースなどでも見かけます。日頃からニュースを見ると、自然に知っている用語が増えていくと思います。

* * *

このブログでは、各科目の幹となる用語や計算問題を紹介します。細かい用語や最新の法令・規則については、テキストや問題集で確認をお願いします。




キャッシング業務、株式累積投資(付随業務)


今日は「付随業務」の分野を取り上げます。

試験のキーワードになりそうな用語を赤色で示します。その他の色は、理解を助けるためにつけます。

* * *

この単元のYouTube動画を作りました。ご覧ください。(若干の生活音や息継ぎ音が入ることがあります。音量を調節してみてください。)

(よろしければ、こちらからチャンネル登録お願いします)

* * *

上の動画のポイントをまとめます。


1 付随業務

金融商品取引法35条は、金融商品取引業の本業のほかに、「金融商品取引業に付随する業務を行うことができる」と定めています。これを付随業務といいます。法律は15種類の付随業務を指定しています。主なものを列挙すると次のようになります。

・有価証券の貸借またはその媒介もしくは代理
・信用取引に付随する金銭の貸付け
・顧客から保護預りをしている有価証券を担保とする金銭の貸付け
・累積投資契約の締結

15業務のすべてを取り扱うことはできませんので、ここではキャッシング業務と累積投資契約について説明します。(下のリンク先資料に付随業務一覧があります。)https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/siryou/kinyu/dai1/f-20041224_sir/02_03.pdf


2 キャッシング業務

キャッシング業務は、上で挙げた主な付随業務のうち、「顧客から保護預りをしている有価証券を担保とする金銭の貸付け」にあたります。投資信託の分野で短期の公社債で運用するMRFを紹介しました。キャッシング業務は、このMRFの解約に関係します。

MRFを解約する投資者には、解約の当日に現金化したいというニーズがあります。しかし、公社債は即日現金化することはできません。細かい手続きがありますので、解約の申し出があった日の翌営業日にしか現金化できません。

この1営業日のずれを埋めるために、証券会社が解約請求者に貸付けることをキャッシングといいます。証券会社は、解約請求日にMRFが投資している公社債を担保に投資者に貸付けます。翌営業日に、公社債を売って現金化したお金で返済を受けます。キャッシングは返還可能金額500万円の少ない方を上限に行うことができます。



3 累積投資契約

累積投資契約とは、あらかじめ選んだ証券を定期的・継続的に買い続ける契約です。「るいとう」の名前で親しまれています。

たとえば、下の図表のように、投資できる銘柄としてカゴメが指定されているとしましょう。カゴメに投資したい投資家は、毎月一定額の資金を証券会社に出します。証券会社はそれをひとつにまとめて、カゴメの株を毎月コンスタントに買い続けます。


月々1万円から始められますので、大きな資金を持たない個人投資家が、株式投資の第1歩として利用してきました。

るいとうの特徴の1つに、ドル・コスト平均法が実践できるという点があります。毎月一定額を投資しますので、株が安くなったとき多く、株が高くなったときに少なく買うことになります。

たとえば、1万円ずつ投資するとき、株価が1,000円であれば10株800円であれば12.5株買えます。安いときに2.5株多く買えます。長い期間でならしてみると、平均買付価格が下がるのでよいとされています。(厳密には検証が必要ですが、資格試験ではこの理解で構いません。)

るいとうのもう1つの特徴に、インサイダー取引規制の適用除外となる点があります。インサイダー情報を知り得る立場の人も、内部情報を知るに締結された契約にもとづく定期的な買付けであれば、規制の対象外となります。

ただし、1銘柄の投資金額が1か月あたり100万円に満たないことが条件です。いくら、事前に契約していても、500万円、1,000万円も買いつければ「さすがにあやしい」ということになります。それで、投資金額に上限を設けています。

付随業務の分野の配点は、外務員二種、一種ともに低いです。投資信託の業務に関連するキャッシングとるいとうを理解するだけで良いかもしれません。メリハリをつけて対策しましょう。

* * *

このブログでは、各科目の幹となる用語や計算問題を紹介します。細かい用語や最新の法令・規則については、テキストや問題集で確認をお願いします。




その他のトピックス(投資信託等に関する業務:その4)


今日は「投資信託及び投資法人に関する業務」の第4回です。その他のトピックスを紹介します。

試験のキーワードになりそうな用語を赤色で示します。その他の色は、理解を助けるためにつけます。出題分野名は「投資信託及び投資法人に関する業務」が正式名称ですが、記事のタイトルに書くには長すぎるので「投資信託等に関する業務」と表記します。この単元には動画がありません。

* * *

1 特定資産

投資信託及び投資法人に関する法律は、特定資産に投資するしくみを投資信託と定義しています。特定資産は、投資信託及び投資法人に関する法律施行令3条に掲げられている12種類です。主なものを4つ挙げます。

1 有価証券
2 デリバティブ取引に係る権利
3 不動産
4 不動産の賃借権

投資信託及び投資法人に関する法律施行令については、次のリンクを参照してください。
https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=412CO0000000480


2 投資法人のしくみ

資金を特定資産で運用する社団法人を投資法人といいます。投資法人は資産運用以外の業務を営むことができません。また、投資法人は商号(法人の名前)に「投資法人」という語を付けなければなりません。

投資法人は、内閣総理大臣に届出をして、手続きにしたがい登記することで設立されます。設立時の出資総額は1億円以上でなければなりません。そして、設立後に業務を営むためには、内閣総理大臣の登録を受ける必要があります。(少し意地悪ですが、このようにややこしい届出、登記、登録がチェックポイントとなる問題が出るようです。)

投資法人が発行する証券を投資口といいます。私たち個人投資家は、それを購入する形で投資します。たとえば、不動産投資信託(J-REIT)の投資口に投資します。

投資口を保有する投資者を投資主といいます。投資主が投資法人の運営方針を決める場を投資主総会といいます。投資主総会では、投資法人を運営する役員を選任したりします。(株式会社の株主総会のようなものです。)

投資法人の役員は執行役員と監督役員からなります。執行役員1名以上が必要です。監督役員執行役員より1名以上多くなければいけません。監督役員は執行役員を兼務できません。

投資法人は、ある種形だけの法人です。資産の保管・運用やそれに伴う事務は外部委託することが義務付けられています。

下のリンク先にある大和ハウスリート投資法人では、資産の保管を三井住友信託銀行、資産の運用を大和ハウス・アセットマネジメント、一般事務を三井住友信託銀行と三菱UFJ銀行が担当しています。
https://www.daiwahouse-reit.co.jp/ja/about/overview.html


3 投資信託約款

委託者指図型投資信託は、委託者と受託者の契約にもとづく投資信託のしくみです。このしくみは約款(きまりごと)にしたがって運営されます。約款締結の前に、委託者は約款を内閣総理大臣に届け出る必要があります。

約款には、委託者と受託者の商号(会社の名前)、財産の運用法評価法、元本の償還や収益の分配のしかたなどを記します。

投資信託を購入しようとする投資者に対して、投資信託約款の内容を記した書面を交付しなければなりません。ただし、目論見書に約款の内容が記されているときは交付しなくてもよくなります。目論見書は、投資者の同意が得られれば、電子メールで送ることもできます。

このあたりの話は、実際に投信を購入してみないとわかりにくいと思います。購入しなくても、たとえば雑誌の投信特集などを眺めて馴染んでおくと、苦手意識が和らぐかもしれません。

* * *

このブログでは、各科目の幹となる用語や計算問題を紹介します。細かい用語や最新の法令・規則については、テキストや問題集で確認をお願いします。




投資信託の運用(投資信託等に関する業務:その3)


今日は「投資信託及び投資法人に関する業務」の第3回です。投資信託のを紹介します。

試験のキーワードになりそうな用語を赤色で示します。その他の色は、理解を助けるためにつけます。出題分野名は「投資信託及び投資法人に関する業務」が正式名称ですが、記事のタイトルに書くには長すぎるので「投資信託等に関する業務」と表記します。

* * *

この単元のYouTube動画を作りました。ご覧ください。(若干の生活音や息継ぎ音が入ることがあります。音量を調節してみてください。)

(よろしければ、こちらからチャンネル登録お願いします)

* * *

上の動画のポイントをまとめます。


1 運用目標

投資信託は、目標とする運用成果によって、パッシブ運用とアクティブ運用に分類されます。

パッシブ運用は、ベンチマークに近い運用成果を目指します。ベンチマークとは、日経平均やTOPIXといった市場全体の値動きを表すインデックスのことです。日経平均連動型ETFやTOPIX連動型ETFに投資します。これらのETFを保有してじっと構える運用スタイルですので、パッシブ運用といいます。

アクティブ運用は、ベンチマークを超える運用成果を目指します。じっとETFを保有し続けるだけでは、ベンチマークを超えることができません。機動的に証券を売買する運用スタイルですので、アクティブ運用といいます。


2 アクティブ運用の分析手法

アクティブ運用で売買のタイミングを測る方法に、トップダウン・アプローチとボトムアップ・アプローチがあります。

トップダウン・アプローチは、マクロ経済を分析して、売買のタイミングを測ります。GDP、為替、物価、貿易、金融政策、財政政策の先行きを予測して、良くなりそうならリスク資産を買い増し、悪くなりそうならリスク資産を減らします。経済の全体的な状況を俯瞰することから、トップダウン・アプローチといいます。

ボトムアップ・アプローチは、個別企業を分析して、売買のタイミングを測ります。決算短信、有価証券報告書、中期経営計画、取締役の陣容などをみて、業績が良くなりそうなら買い、悪くなりそうなら売ります。投資候補を1つ1つ見定めることから、ボトムアップ・アプローチといいます。


3 ボトムアップ・アプローチの着目点

ボトムアップ・アプローチで投資候補の株を見定めるとき、グロースとバリューという2つの着目点があります。

グロース株運用とは、これから成長しそうな株に投資することです。企業の成長性に注目するのですから、売上高成長率や経常利益成長率など、業績の伸びを表す指標をみて投資します。

バリュー株運用とは、割安な株に投資することです。理論上の株価と実際の株価の差に注目するのですから、株価収益率(PER)、株価純資産倍率(PBR)、株価キャッシュフロー倍率(PCFR)など、値ごろ感を表す指標をみて投資します。

グロース株運用は、企業の成長に乗せてもらうイメージ(トレンドフォロワー)です。バリュー株運用は、市場の評価が理論株価に近づいていくイメージ(逆張り投資家)です。


4 基準価額

基準価額とは、オープンエンド型の投資信託の純資産価額を口数で割って算出する「投資信託の値段」です。純資産価額とは、投資信託が保有している株や債券の時価の合計です口数とは、投資信託の単位の数です。株であれば株数に当たります。基準価額は日々計算されます。基準価額が12,000円である投資信託を10口購入するとき

12,000円×10口=120,000円

12万円を払います。(その他、購入手数料もかかります。)

投資信託の分野は、「私ならどう投資するかな」をシミュレーションしながら学ぶと理解しやすいと思います。楽しみながら少しずつ進めましょう。

* * *

このブログでは、各科目の幹となる用語や計算問題を紹介します。細かい用語や最新の法令・規則については、テキストや問題集で確認をお願いします。